FAQツール×人材育成で実現する、「お客様ファースト」のコンタクトセンター改革
課題
業界特有の対応難度と事業拡大にともなうコンタクトセンターの拡張
- 地方拠点における人材確保
- 新人オペレーターの育成と定着
- コンタクトセンター対応の難易度を上げる、カタログギフト贈り主と受け取り主の両者への配慮
成果
お客様ファーストのコンタクトセンターの構築
- 安定した人材確保と、オペレーターが定着しやすい職場環境の整備
- 対応品質の向上と「お客様ファースト」の姿勢の定着
- デジタルツール活用による業務効率化と新人支援
対談インタビュー
生産事業本部 顧客サービス部 担当部長 鈴木 克直様
生産事業本部 顧客サービス部 サービス課 課長 元木 紀代美様
※2025年9月時点
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商品企画、調達、コールセンターの3機能を集約したリンベル社様の山形ハブオフィスです。
リンベル株式会社は、創業以来掲げる「満足の保証」という理念のもと、お客様に寄り添った柔軟で高品質なコンタクトセンター運営を追求しています。事業拡大にともない、オペレーション人材増員の必要がありましたが、地方拠点の立地条件から人材確保には大きな課題がありました。こうした状況を打開するため、リンベル株式会社はアルティウスリンクと協力し、コンタクトセンターの安定稼働に取り組んでいます。カタログギフトという商品の特性上、カタログを受け取ってコンタクトセンターへ問合せをされる方だけでなく、カタログを贈った方にも配慮が求められるため、対応難易度は非常に高くなります。こうした課題にどう向き合い、どのように解決してきたか。
新人オペレーターの教育やサポート体制の強化、FAQツールVirtual Agent Plus(※2)の導入など、現場で実施している具体的な取り組みについて、リンベルの鈴木様、元木様 とアルティウスリンクの阿部、高野に話を聞きました。
事業規模拡大にともなうコンタクトセンター体制強化と人材確保の課題
アルティウスリンクへの外部委託に至った経緯について教えてください。
鈴木様
内製と当時の委託先企業の2拠点体制でコンタクトセンターを運営していました。事業拡大にともなってコンタクトセンターの体制強化が必要でしたが、当社コンタクトセンターの立地が地方ということもあり、人材確保が課題になりました。そこで、コストを抑えつつ、安定稼働を実現できるという戦略的提案を受け、アルティウスリンクへ委託先を変更する決断を行いました。
委託先の一括切り替えとお客様ファースト実現に向けた取り組み
委託先切り替えに際して直面した課題と、解決に向けて取り組まれたことを教えてください。
鈴木様
委託先切り替えには一定期間並行稼働して段階的に移行するやり方もあると思いますが、今回は一括して内製とアルティウスリンクの両体制に移行しました。最初こそ苦戦したものの、内製とアルティウスリンクで対応内容を分けるなど運用面での工夫を重ねることで徐々に改善が進み、今ではアルティウスリンクで全体の半数以上を対応いただくまでに至っています。
元木様
アルティウスリンクへの委託開始後はオペレーターをはじめとする人材の育成強化に注力しました。コンタクトセンター運営で一番重要なのは「人」です。しかし、カタログギフトに関する問合せでは、単なる商品説明にとどまらない、贈った方・贈られた方双方の体面と感情に配慮する高度な対応が求められます。このため新人オペレーターがプレッシャーを感じて長続きしないといった課題もありました。だからこそアルティウスリンクには教育とフォロー体制をしっかり整え、人材の定着と品質の向上を求めました。
新人研修ではまずリンベル様の理念である「お客様に寄り添う対応」の習得を徹底します。座学・ロールプレイングとO-JTを組み合わせ、導入研修中に延べ30時間の実践型カリキュラムを設計しました。これは研修工程のおよそ半分を占める割合です。
そしてデビュー後は、新人オペレーターが落ち着いて対応できるよう、管理者がすぐそばで常時フォロー可能な体制を作りました。さらに対応後は「対応表」を必ず作成してもらい、管理者がその場で全件を確認します。対応内容へのフィードバックをこまめに都度行うことで、オペレーターが安心して対応できる環境を構築しました。
さらに、デビュー後の新人の疑問や不安を早期に特定・解消するため、先輩オペレーターが質疑回答を行う座談会を5回ほど実施します。対応に苦慮した問合せや、対応時のマインド、伝え方の表現など、最前線で活躍中の先輩オペレーターから、事例に基づいたノウハウをレクチャーするのが目的です。加えて、それぞれのスキルに応じた追加研修を実施することで、多岐にわたる問合せに対し、きめ細やかな対応スキルを身につけられるようにしています。
また、リンベル様ではコンタクトセンターにIVR(自動音声応答システム)を導入されていません。これは問合せされるお客様にご高齢の方が多く、IVRが問合せのハードルになるのを避けたいという運用方針によるものです。
一方、IVRがないことで、新人オペレーター向けの問合せを振り分ける仕組みを構築できず、ありとあらゆる問合せがベテラン・新人の区別なく入る状況で、教育上の課題が生じていました。そこで、本業務に対応補助ツールとして、ナレッジプラットフォーム「Virtual Agent Plus」を導入しました。これにより、オペレーターは電話対応中でもトークスクリプトやFAQを簡単に検索・表示できるので、新人であってもまずお応えすべきことがわかり、システムからは次のアクションの提示も受けられるようになります。現在はチューニング中で効果測定段階ですが、Virtual Agent Plusの活用によって特に新人オペレーターの独り立ちを支援し、より安心して業務に取り組める環境づくりを進めていきます。
阿部
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広々とした休憩スペースもあるため、ゆっくりと休憩ができます。(リンベル社様 山形ハブオフィス)
AI活用と丁寧な有人対応で、一歩先のお客様満足を目指して
委託先切り替え後の7年を通じて、アルティウスリンクの評価はいかがでしょうか。
鈴木様
全体として非常に良い評価です。切り替え検討を行った際に新たな委託先に期待した、対応品質の確保や人材の拡充などについて、目標値の100%に近いレベルで対応いただいています。応答率が安定していることからも、品質面でも信頼できるという評価です。
今後、アルティウスリンクと一緒に取り組んでいきたいことや、期待していることはありますか。
鈴木様
当社では生成AIの活用に可能性を感じています。すでにDXツールとしてVirtual Agent Plusを導入いただいていますが、ここに生成AIを組み合わせることでさらなる進化を期待できるのではないでしょうか。Virtual Agent Plusにとどまらず、生成AI、AIチャットボットといった先進技術についても、アルティウスリンクの知見を活かした提案をお待ちしています。
まさに、生成AIやこれを活用したAIチャットボット、FAQ生成ツールの活用を検討しているところです。お客様対応の品質向上やオペレーター支援に生成AIがどう活かせるかという観点でサービスを具体化し、提案させていただきたいと考えています。
高野
鈴木様
当社のコンタクトセンターには、お客様に寄り添う、丁寧な対応が欠かせません。人とAIが担う部分をうまく組み合わせて、より安定したセンター運営を目指したいと思っています。AIで対応できるところは積極的に効率化し、人が人に寄り添う対応をさらに磨いていく——そうやって人がやりがいを感じ、誰もが働きやすい環境を整えていくことが、結果的にお客様満足につながると考えています。
これからもぜひ、新しい提案をいただけたら嬉しいです。そして現場としても、より良い対応と安定稼働を目指して取り組み、近い将来には「人が育つコンタクトセンター」になるよう、一緒に取り組んでいきましょう。
リンベル株式会社は、カタログギフト事業を主力とする、日本のカタログギフト分野のパイオニア企業です。『「ありがとう」の気持ちを丁寧に届けること』を使命とし、商品の開発・仕入れからカタログ編集、物流、お客様サポートまでをワンストップで提供する事業を展開しています。
※2 アルティウスリンク アップス社製 ナレッジプラットフォームツール