ボイスボットとのハイブリッド対応で応答率100%を実現
お客様との温かいつながりと効率化を両立するDXの手法とは
課題
CX向上を目指し、繁忙期や非常時においても応答率100%の確保
- 繁忙期や自然災害などによる非常時を見据えた呼量増加への対応
- 有人対応ならではの寄り添いやホスピタリティを損なわない方法での応答率向上
成果
繁忙の時間帯でも応答率約100%を達成
- ボイスボットの導入により、繁忙期でも応答率約100%を達成
- ボイスボットとオペレーターとのハイブリッド対応で、お客様に寄り添った対応が可能に
- オペレーターの増員なしでグループ会社を含めたお問合せ対象範囲の拡大にも対応
対談インタビュー
輸送品質部 お客様相談センター
※2025年8月インタビュー当時 センター長 廣瀬 尚也様
西濃運輸株式会社は「輸送立国」を掲げ、顧客満足度向上のため、最高のサービスを届けることを使命としています。しかし、DXに頼らない、有人対応ならではの寄り添いやホスピタリティを保ちながら応答率100%を目指す取り組みはどうしても限界がありました。こうした課題を解決するため、長年のパートナーであるアルティウスリンクと協働し、顧客対応の一部へボイスボットの導入を決定。お客様との温かなつながりを維持しながらのDX導入のための工夫や効果、関係者の評価について、西濃運輸の廣瀬様、アルティウスリンクの阿波連と横山に話を聞きました。
「人の温かさ」を維持しつつ、人力のみでの対応の限界を超えるための工夫
カスタマーセンターの役割を教えてください。
廣瀬様
アルティウスリンクには、全国161か所にある西濃運輸の支店・営業所(2025年8月時点)の外線電話すべてを受けていただいており、主に法人のお客様からの集荷依頼や配送状況のお問合せに対応し、各営業所へ受付内容を連携してもらっています。
電話対応業務は、お客様への正確で迅速な情報提供が最高のサービスにつながるものと考えています。当社としてはCX(カスタマーエクスペリエンス)の観点から、この電話対応におけるKPI(重要業績評価指標)に「応答率100%」を掲げています。また、お客様への共感・細やかな気配り・安心感の提供を通じて信頼関係を築くには、「人」の役割が不可欠だと考えています。人による対応を重視しつつ、同時に効率化と迅速化を実現するべく日々取り組んでいます。
カスタマーセンターの当初の課題を教えてください。
廣瀬様
応答率100%の達成には大型連休や年末年始といった繁忙期、さらには自然災害や事故なども見据えた対策が必要です。「人による温かい対応」へのこだわりがありつつも、人力のみでは限界があると感じていました。それでもお客様のために応答率100%を実現できる方法はないかと、IVR(自動音声応答)の導入も検討しましたが、AI音声の機械的な対応には抵抗が残りました。
「人の温かい対応」を実現するボイスボット運用の仕組みづくり
課題に対してどのような提案をしたのでしょうか。
西濃運輸様が大切にされている「お客様との温かいつながり」を保持しつつ、効率的な対応を実現するために、柔軟かつ迅速にカスタマイズが可能なボイスボット導入を提案しました。
具体的には、AIによる自動応答で完結させるのではなく、システムの中に「人に繋ぐ仕組み」を組み込んで、人の温かさを感じられる対応を提供できる形態としました。
ボイスボットシステム「MOBI VOICE®」を活用し、お客様から要件をヒアリングする一次対応はAIが行い、その後オペレーターからの折り返しとすることで、「人による温かさ」を損なわないサービスを実現したものです。
阿波連
廣瀬様
提案内容には非常に満足しています。AIや機械音声で完結させず、お客様と直接つながる仕組みを作ることで、「人による温かさ」を持った応対が実現されたと感じています。お客様から安心感と信頼を得られる仕組みになったと実感しています。
密なコミュニケーションが支える信頼関係と、オペレーターの高い定着率
現場で働くオペレーターは10年以上の熟練者が多く、定着率も高いと聞きました。要因はどこにあるのでしょうか。
西濃運輸様の「人の温かさを大切にする」という想いが私たちにも届いていることが一番の要因だと感じています。例えば執務室内に歴代のご担当者様とのスナップ写真や写真立てが置かれていることに、温かいアットホームな雰囲気を感じました。また、数か月に一度センター視察に来てくださるのでその際にオペレーターと西濃運輸のご担当者が直接会話する機会があり、課題や思いを知ることができます。このような人と人とのつながりを大切にする環境が、オペレーターの結束につながり、結果高い定着率につながったのだと考えています。
横山
働きやすさの点では、西濃運輸様のシステム改修の場面でも、オペレーター個人の困りごとまですくい上げて反映してくださる点も挙げられます。日々の業務が細やかに改善され、現場からも「働きやすくなった、仕事がしやすくなった」という声を聞きます。こうした人とのつながりと日々の環境改善こそが、離職率0.5%以下※1という定着率の高さに現れているのだと感じています。
この強い一体感は、窓口担当者としても、日々の密なコミュニケーションのなかで強く実感しており、西濃運輸様とは毎日複数回、受付状況を中心に連絡を取り合っています。その過程で数字だけでは伝わらない現場の状況を共有し、課題を迅速に解決することができ、お客様の満足度向上に寄与していると考えています。「物流」という時間勝負の業界では、特にこまめなコミュニケーションが何よりも重要です。今後も密な連携を通して、お客様のご要望に臨機応変に対応できるような体制づくりやオペレーターのさらなる意識向上に取り組みたいと思います。
阿波連
ボイスボット導入と人の対応によるハイブリッド体制で応答率100%を達成
ボイスボット導入後の効果はいかがでしょうか。
廣瀬様
MOBI VOICEの導入もあって、応答率約100%を達成できたことについて嬉しく思います。従来の平均通話時間約1分に対して、MOBI VOICE導入後もほぼ同等の時間で受付できており、品質を維持した、安定した体制ができたと評価しています。また、2024年にグループ4社を統合し、入電件数が約1.5倍増える予測になった際も、人員を増やすことなく乗り切れたのは、ボイスボットとオペレーターが連携する仕組みを効果的に活用できた証拠と感じています。
ボイスボットの効果を最大化するために、「あふれ呼」をボイスボットで制御する運用をしています。リアルタイムに現状を把握できる環境と、繁忙に合わせた対応量の調整が不可欠です。熟練オペレーターが多いこのセンターでは、残荷状況をリアルタイムに共有して繁忙度を把握し、繁忙に合わせた対応を行っています。
ほかにも降雪・交通情報を活用し、地域の営業所へのお問合せに備えることで、席数を増やさずに業務を継続できています。
阿波連
ボイスボット導入後のお客様の反応はいかがでしょうか。
廣瀬様
AIの自動応答に驚かれるお客様もいらっしゃいますが、営業時間外でも電話がつながりその後の対応は人が行うことで、「ありがとう」と感謝の言葉をいただくことが増えました。当社の期待したAIによる迅速なお客様対応と、人の温かさを両立させた対応でお客様にも満足いただけていると感じます。
今後も「人による温かい対応」にこだわりながら、応答率100%維持のための効率化を追求したいと考えています。人材の教育に合わせてボイスボットの対応シナリオを追加し、柔軟性を持たせるなど改善を行いながら、お客様満足の向上に取り組みたいと思います。
阿波連
ボイスボットが導入された現在のセンターの評価はいかがでしょうか。
廣瀬様
定性的にも定量的にも、非常に品質レベルが高いと感じています。私がセンター視察に行った際も「荷物が届かない」とご立腹だったお客様が、最後には「ありがとうございました」と言ってくださるような場面も何度も見かけました。アルティウスリンク全体として、私たちと同じ目線で「お客様のために」課題を一緒に考え、様々な提案をしてくれる姿勢に大変感謝しています。
業務効率化とオペレーターのコミュニケーション品質向上を両立するDXを推進し、よりお客様に満足いただけるサービス提供を
今後の取り組みについてはいかがでしょうか。
廣瀬様
現在、手書きの伝票をAI-OCRで読み込み情報を自動でシステムに連携し、オペレーターの入力作業を削減する効率化にも取り組んでいます。今後はオペレーターが見ているシステムと入力するシステムの連携をはかりオペレーターがもっとお客様との対話に集中できる体制にしたいと考えています。
私たちも、他業務での成功事例や社内のナレッジを活用することで、今後も多角的にご提案していきたいと考えています。西濃運輸様の業務改善につながる具体的な提案ができるよう、現状に満足することなく取り組みます。
阿波連
私も繁忙期にオペレーターが十分にパフォーマンスを発揮できるよう負担を軽減することで、西濃運輸様のお客様に喜んでいただけるような提案ができるように努めたいと思います。西濃運輸様の安定的なサービス提供に貢献できるよう、これからも取り組んでまいります。
横山
廣瀬様
ボイスボットの対応範囲も当初の2カテゴリから4カテゴリへと拡大しました。私たちは「まずやってみる」を重視しています。トライ&エラーを繰り返しながら、さらに「電話を取り逃がさない体制」をアルティウスリンクと共に強化することで、さらにお客様にご満足いただける体制にしたいと考えています。
西濃運輸株式会社は、日本の物流インフラを支える企業です。カンガルー特急便を中心とした商業物流サービスを主な事業とし、円滑な物流と経済の発展に貢献しています。会社の使命として「輸送立国」を掲げ、「物流を超えて、お客様に喜んで頂ける最高のサービスを常に提供し、国家社会に貢献する」を定義とし、グリーン物流の推進やデジタルトランスフォーメーション(DX)による効率化、安全対策など、持続可能で高品質な物流サービスの提供に取り組んでいます。
※1 2021年度~2025年6月までの平均離職率