高難易度なお問合せの本社エスカレーションをゼロに 電気というインフラを支えるお問合せ業務での取り組みとは
課題
電力事業特有の対応の複雑さによるカスタマーサポートでの解決率の低さ
- 電力事業特有の専門性の高さによる解決率の低さ
- エスカレーション多発による業務負荷
- 頻繁な制度変更や料金変更による品質維持の困難さ
成果
正確で迷わないマニュアル作りとリアルタイム連携によるエスカレーションゼロ運営
- 電力業務の知見を活かした円滑かつ質の高い業務遂行
- マニュアル整備による正確なご案内体制の構築およびセンター内解決率向上
- VOC分析によるサービス品質向上
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- 業務内容
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電力小売事業におけるお客様からのお問合せ対応業務
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- 導入サービス
対談インタビュー
※2025年11月時点
シン・エナジー株式会社のサポート本部 オペレーション部 カスタマーサポート課では、電力小売事業における一般家庭や商店向けの低圧区分のカスタマーサポート業務を担当。そのお客様対応の品質改善を目的に、2社2拠点体制からアルティウスリンクの1社1拠点体制に移行。電気という生活インフラとしての正確性と、頻繁な制度変更への即応が求められる専門性の高い領域において、いかにして高品質なオペレーション体制を構築したのか。その取り組みについて、シン・エナジーの小森様、嶋津様と、現場を指揮するアルティウスリンクの尾上に話を聞きました。
難易度の高さが生む応対品質の課題と委託先一本化に至るまでの経緯
まずは、アルティウスリンクに委託している業務内容について教えてください。
嶋津様
私たちが提供している電気の契約のうち、お客様からのお問合せ対応を、アルティウスリンクに委託しています。
電気のご契約に関する業務の難しい点は、お客様にとって電気は「使えて当たり前」のインフラであり、裏側の仕組みが見えにくいことです。 実際は、電線などの設備管理は地域の電力会社(送配電事業者)が行い、私たちはそれを借りて販売する「小売」の立場です。しかし、お客様にとっては「契約先=問合せ先」ですので、トラブルの原因が設備なのか契約なのか、複雑な状況を整理してご案内する必要があります。これが業務の難しさの一つです。
だからこそ私たちは、このカスタマーサポートの業務において、単なる事務的な対応ではなく、仕組みによる正確さと、対話による安心感を両立したサポートを目指しています。
お客様と会社の「架け橋」となって最良の顧客体験を提供するーーそれが私たちのミッションです。
その目標のもと、アルティウスリンクに委託するきっかけは何だったのでしょうか。
嶋津様
体制変更の背景には、応対品質の課題がありました。先ほどお話した通り、電気に関するお問合せは専門性が必要とされるだけでなく、お客様自身も「何が起きているか分からない」状態で電話をかけてこられることが多いです。カスタマーサポートでは、そうした曖昧な状況を紐解き、解決まで導くという高度なスキルが求められますが、当時の体制ではそこまでの対応を現場だけで完結させることが難しく、結果として本社へのエスカレーション(二次対応依頼)が非常に多い状況でした。マニュアル通りの回答だけでは解決できない案件も多く、この問題をどう解消するか、運用の見直しを検討していました。
小森様
さらに元々はBCP(事業継続計画)の観点から、沖縄にある別の委託会社とアルティウスリンクの2社体制で運営していましたが、沖縄の会社が事業方針の変更で撤退することになり、それを機にアルティウスリンクへの一社化集約をご相談したという経緯です。
アルティウスリンクには他社で電力系コールセンターの運営実績があり、今回のセンター立ち上げにおいても業界経験を持つ管理者をアサインいただける点が大きな決め手となりました。専門知識が不可欠な業務だからこそ、そうしたノウハウや実績を持っているパートナーであれば安心してお任せできると考え、1社体制への移行を決断しました。
スムーズな統合とエスカレーションゼロの大幅な品質改善
2拠点2社でリスク分散していた体制から、1拠点1社へ統合するとなると、移行時のトラブルや業務上のリスクが懸念されたのではないでしょうか?
嶋津様
はい。正直なところ、他社からの引き継ぎやシステム統合は難易度が高く、万一うまく移行できなければお客様に多大なご迷惑をおかけする可能性があり、業務上の混乱を強く懸念していました。しかし蓋を開けてみれば、アルティウスリンクの担当者様が現場で迅速かつ的確に対応してくれたおかげで、1日も業務を止めることなく、統合をスムーズに完了することができました。
運用体制が統合されたことで、品質面の課題はどのように改善されましたか。
嶋津様
アルティウスリンクに統合した最も大きな成果は、「本社への電話でのエスカレーションがゼロになったこと」です。以前は、現場で解決できない難しい案件や、対応しきれないクレームが頻繁に私たちの元へ回ってきていました。統合後はアルティウスリンク様の現場ですべて解決してくださるため、私たちが直接電話口に出ることはほぼなくなりました。
加えて、通常のお問合せにおける「解決率」も大きく向上しています。以前は確認や判断に迷い、折り返し対応になるケースもありましたが、現在は一次解決率が大幅に向上し、センター内での解決率も70%近い水準で運用されており、大変助かっています。
小森様
私もエスカレーションの削減効果を感じています。以前はご不満を抱えたお客様から直接かかってくることを想定して、私のデスクに専用の「内線電話」を置いていましたが、アルティウスリンクの一社体制になってからはその電話が一切鳴らなくなったため、今ではその電話機自体を撤去することができました。また、クレームなどの特殊なケースだけでなく、一般的なお問合せでも1回のお電話で解決できる体制が徹底されているため、お客様満足度も確実に上がっていると感じます。
エスカレーションゼロを支える「記憶に頼らない仕組み化」とリアルタイムな連携体制
現場ではどのようにこの「エスカレーションゼロ」に取り組んだのでしょうか。
まずは、誰もが迷わず正確に対応できる体制作りに取り組みました。電気のお問合せ対応で一番大変なのは、国の制度やルール、料金体系の変更が頻繁にあることです。その度に新しい情報をキャッチアップしなければなりませんが、オペレーター個人の「記憶」に頼った運用では誤案内などのリスクがあります。そこで「記憶していなくても、見れば間違えない環境」を作ることに注力しました。更新があるたびに画像付きの詳細マニュアルを作成したり、検索性に優れ必要な情報をすぐに取得できる参照資料を用意したりするなど、誰が対応しても正しい案内ができる仕組みを徹底的に整えています。
運用面においては、属人的対応に依存しないフォロー体制を構築しました。毎朝の朝礼では、当日の運用上の重要変更点や注意事項を必ず全体共有し、オペレーター全員が同一の認識で業務を開始できる仕組みを徹底しています。
また、対応中に判断に迷う場面では管理者が即時にサポートへ入り、判断を要する案件はビジネスチャットツールを活用して迅速に相談・意思決定を行える環境を整備しました。これにより認識のズレを即時に解消し、チームで補完し合う運用体制を実現しました。その結果、チーム全体で支え合う文化が醸成され、ミスの抑止やエスカレーションゼロの運営につながっていると感じています。
尾上
嶋津様
運用変更においては、周知から実行までの対応が非常に迅速かつ確実で、現場への反映も早く、日々の安定運用において大変助けられています。また、すぐに相談可能な体制と、信頼関係のおかげで、まるで社内の隣の席の人と仕事をしているような感覚で運営できていることが、品質アップの重要な要素だと感じています。
仕組みとフォロー体制で解決率を高めているのですね。他にはどのような取り組みがあるでしょうか。
VOC(Voice of Customer=お客様の声)を起点とした改善提案にも力を入れています。 私たちのセンターでは、ただ電話を受けるだけではなく、「なぜお客様はこの質問をされたのか?」「マニュアルのどこが分かりにくかったのか?」という現場の気づきを大切にし、日々の改善に活かしています。
オペレーターから上がってきた報告をもとに「お客様がつまずきやすいポイント」を分析し、マニュアルの精緻化や運用ルールの変更という形で、積極的にフィードバックしています。例えば申し込み時の不備について、不備内容の傾向やお問合せ内容から発生要因を推定し、申込画面の改修を提案いたしました。これにより特定の不備を約5%削減することができ、より迅速にお客様の申し込み受付ができるようになりました。単なる業務遂行にとどまらず、サービス全体の品質向上に主体的に取り組むパートナーでありたいーー現場に浸透しているその意識と行動が、成果につながっているのだと思います。
尾上
嶋津様
この「現場からの逆提案」があることも非常に心強く思っています。 VOCをもとにして毎月最低でも1~2個の改善案をご提案してくださいます。私たちが作ったマニュアルやルールに対して、「現場では運用しづらい」「こう伝えたほうが分かりやすい」といった、お客様に一番近い視点での鋭い意見をたくさん挙げてくださいます。こういったサービスをより良くするために一緒に考えてくれる姿勢を、非常に頼もしいと感じています。
シン・エナジー様には、日頃より気軽にご相談できる環境を整えていただき、常に真摯にご対応いただいていることに大変感謝しております。オペレーター向けFAQにおいて情報へ到達しづらい課題があり、一覧式からオペレーターの選択に応じて回答が分岐する分岐型FAQへの改修をご提案した際にも、議論を重ねながら共同で改修することができました。現在はFAQ内容を継続的に見直すことで、正確な情報を迅速にお客さまへご案内できる体制を実現しています。
尾上
垣根を超えたパートナーシップと、人での対応を重視しながら効率化を目指す今後の取り組み
運用が安定した今、次に目指している目標はありますか?
嶋津様
さらなる「迅速かつ正確な対応」と「品質の可視化」です。 お客様をお待たせしないためにも、1件あたりの対応時間(AHT=通話時間と通話後の処理時間を合わせた平均時間)を短縮しつつ、満足度を維持・向上したいと考えています。
今後はAI(人工知能)を活用したオペレーター支援システムの導入も検討しています。アルティウスリンクが別業務で実際にAIを活用し、成果を出している事例を拝見して、「テクノロジーと人間味の融合によって、現場やお客様に寄り添った満足度の高い応対ができる」という確信が持てたため、一緒に取り組んでいきたいと思っています。
これからも事業を共に成長させるパートナーとして、「どうすればもっと良くなるか」を一緒に考え、お客様に最高の体験を届けるために、「ワンチーム」で頑張っていきましょう。
シン・エナジー株式会社は、エネルギーを基軸に「食」や「社会システム」の新たな価値を創出する「Local Design(地域デザイン)」を強みとするエネルギーの総合企業です。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど多様な再生可能エネルギーの電源開発から、電力の需給管理・小売を行う新電力事業まで幅広い領域に対応。再生可能エネルギーを地域固有の資源(一次産業)として再定義し、その地域内でエネルギーと経済、幸せが循環する社会を目指し、未来へつなぐ持続可能なまちづくりをトータルに支援しています。