コールセンターでのカスタマーエクスペリエンス向上のポイント

コラム

2020.02.19

アルティウスリンクは、りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、「顧客経験」「顧客体験価値」などと訳され、商品やサービスを利用する際の一連のプロセスでお客様が感じる心理的・感覚的な価値のことを指します。物やサービスのコモディティ化が進む現代社会では、物質的な価値では差別化が難しく、カスタマーエクスペリエンスによる差別化が必要だと言われています。
では、そのような中、コールセンターでカスタマーエクスペリエンスを向上させるにはどうしたらよいのでしょうか。そのポイントをご紹介します。

コールセンターにおいてカスタマーエクスペリエンスが重要視されている理由

人ならではの対応による価値

インターネットの普及により、多くの商品やサービスは人を介さずに購入できるようになりました。購入だけでなく、事前の情報収集やアフターサービスにおいても、WebサイトやSNS、チャットなどが利用されています。

しかし、簡単な内容は自己解決を求めデジタルチャネルを利用するようになりましたが、電話や対面といったチャネルを利用しなくなったわけではありません。お客様は、簡単な問題を自己解決したいときはデジタルチャネルを、複雑な問題解決や共感・親身さなどを求めるときは人による対応を選ぶというように、チャネルを使い分けるようになったのです。

たとえば、結婚による改姓・住所変更手続きで連絡した際に、一言「ご結婚おめでとうございます!」とお祝いの言葉があるだけでも、親しみや温かさを感じるのではないでしょうか。
自動車事故に遭いパニック状態で連絡しているときに、「それは大変でした。おケガはございませんでしたか?」と気遣う言葉がけがあれば、ホッとするはずです。さらに、人の対応であれば、お客様の話しぶりからレッカーや代車の手配が必要なのではないか察し、手配の申し出をしてもらえるなど、お客様自身では判断が難しいことも任せることができます。

状況に合わせて臨機応変に応対をする、相手の状況や感情を察する、相手の気持ちを理解して寄り添いの姿勢を見せるといったことは、やはり人でないと難しいでしょう。
顧客接点のデジタル化が進んだことで、お客様は人ならではの対応に価値を感じるのです。

コールセンターは貴重な顧客接点

お客様は、商品やサービスといったモノを購入していますが、その際に同時に購入から使用までの「経験」「体験」といったカスタマーエクスペリエンスも買っています。商品やサービスがコモディティ化する中で重要な差別化要素となるのが、カスタマーエクスペリエンスです。

コールセンターは、直接顧客と接することで、人にしかできない共感や親身さ、臨機応変な対応によって安心感を得るといった「経験」「体験」を提供することが可能です。人にしかできない細やかな対応が、カスタマーエクスペリエンス向上に大きく貢献するのです。

コールセンターには、商品・サービスに関する問合せや相談、商品・サービスの注文・申込受付、返品・交換対応やヘルプデスクによるアフターサービスなど、購入前から購入後のサポートまで一連のプロセスにおいてさまざまなタイミングでお客様と接する機会があります。それは、さまざまなタイミングでカスタマーエクスペリエンス向上につながる体験をお客様に提供できるということでもあるのです。

近年では人を直接介さないデジタル対応を利用するお客様が増えており、お客様がコールセンターに電話をしてきて初めて企業と直接接点を持つということも珍しくありません。デジタル化によって直接的な顧客接点が減少する中、コールセンターはカスタマーエクスペリエンスを創造する顧客接点として重要度を増しているのです。

コールセンターでカスタマーエクスペリエンスを高めるために必要なこと

人手不足、新人育成、売上目標達成、生産性向上など、コールセンターにはさまざまな課題が山積しています。そのような中、カスタマーエクスペリエンス向上にまでなかなか手が回らないという方も多いかもしれません。
しかし、コールセンターで取り組んでいることが、実はカスタマーエクスペリエンス向上につながっているのです。これらの課題を一つ一つ解決し、施策を継続していくことで、お客様にさまざまな良い体験を提供することが可能になります。
コールセンターでのどのような取り組みがカスタマーエクスペリエンス向上につながるのか、具体例を見ていきましょう。

オペレーターサポート

採用難や離職防止は多くの企業が抱える悩みの一つです。そして、それはお客様にとっても、負の体験につながります。なぜなら、採用難のなか離職率が高いコールセンターは人手不足となり、自ずと応答率は低下します。そして、お客様は電話がつながらないといった負の体験をすることになるからです。
それだけでなく、新人が定着しない状況では人が育ちません。業務習熟度が低いオペレーターはお客様の質問に十分に答えられず、手際も良くないため応対に時間がかかるなどの問題が生じ、やはり負の体験となってしまうのです。

採用難や離職防止といった課題の対策はいろいろありますが、業務難易度の高さが要因となっている場合、研修の充実、マニュアル・FAQの整備、SV(スーパーバイザー)によるフォローの強化、オペレーター用チャットボットの導入による回答支援などによって、オペレーター負荷を軽減させることが有効です。

オペレーターの負荷が減り、離職率が改善することで、応答率も向上し、電話がつながらないといった負の顧客体験も減少します。また、オペレーターがスムーズに対応できるようになれば、お客様の満足度も上がります。

カスタマーエクスペリエンス向上というと、お客様に対して何か特別な感動体験を提供しなければと考えがちですが、すぐに電話がつながり、スムーズに問題解決するといった体験も、カスタマーエクスペリエンスなのです。そして、直接顧客をサポートするだけでなく、オペレーターをサポートするという間接的な形でもカスタマーエクスペリエンスの向上は可能なのです。

データ活用

二つ目は、データを活用したコールセンターの取り組みがカスタマーエクスペリエンス向上につながる例です。
商品やサービスの注文・申込受付を行うコールセンターでは、顧客満足度と売上達成というKPIを掲げることが多いでしょう。顧客満足度を上げる施策と売上を上げる施策では、通常アプローチの仕方が異なります。そのため、それぞれのスコアを上げるために個別に施策を回すことが一般的でしょう。

しかし、施策によっては顧客満足度と売上が相関することがあります。 たとえば、入電のきっかけ、購入を検討している理由やどのような使い方をしたいのかなどを積極的にヒアリングし、それに対する共感や寄り添いの姿勢を持ってお客様と向き合うことで、お客様のニーズが明確になり、結果として顧客満足度の向上とともに売上がアップするというようなケースです。
お客様はオペレーターと深く会話することで、自分に必要な商品やサービスの提案を受けることができ、納得して購入のステップに進むといった満足度の高い顧客体験をすることができるようになるのです。

ただやみくもにお客様に商品説明やセールストークをしても、顧客満足度も売上も上がらないかもしれません。応対と売上のデータを活用し、どのような応対が顧客満足度を上げ売上につながるのか分析が必要です。分析結果を基に、お客様に合わせた対応をすることで、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができ、結果として二つのKPIを達成することができるのです。

各チャネルの高度化

近年では、コールセンターは電話対応だけでなく、メールやチャットでの対応も行っており、コンタクトセンターと呼ばれることもあります。しかし、お客様が都合のよいチャネルを選択できるよう複数のチャネルを用意したものの、チャネル同士が連携していなかったり、チャネルによっては対応できない内容があったりすることも、まだ多いのではないでしょうか。

特に個人情報や購入履歴などに関するパーソナルな内容はチャットボットでは対応ができず、電話やメールで連絡する必要があります。そこで、チャットボットの機能追加やチャネル連携機能を実装。お客様が電話やメールで連絡し直さなくても、チャットボットへの1度の問合せで問題を解決できるようにするといった方法があります。

一つのチャネルで問題解決を可能にすることで、なるべく電話をかけずに自分で解決したいというお客様のニーズに対応。他のチャネルでの対応が必要なものについても、チャネル連携機能を備えることで、そのプロセスにおいてエフォートレスかつシームレスな体験を提供することができるのです。

まとめ

三つのアプローチを紹介しましたが、いずれも短期的に施策として行うのではなく、継続的に取り組むことが成果につながります。
また、オペレーターのサポートといっても多種多様な方法がありますし、やみくもにデータを分析しても効果的な施策につながるとは限りません。どのような方法が自社の課題を解決し、カスタマーエクスペリエンス向上に貢献できるのか考える必要があります。
どのようなアプローチが効果的か、カスタマーエクスペリエンス向上をサポートする専門企業に相談するのも一つの方法です。

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