ベトナム拠点が取り組む品質向上と業務効率化
自律的なチーム運営を支える現場の声
課題
高度な業務を海外拠点で「日本と同水準」に実行するための、品質再現性と効率化の仕組み構築
- 業務手順および判断基準の標準化
- 日本と同水準の品質担保と業務効率化の両立
成果
自律的な品質改善と業務効率化により、安定した運用体制を確立
- 緻密な手順書の整備により、新人受入時の研修期間を25%短縮
- 1件あたりの作業時間を50%削減し、業務量5倍超でも安定した運用体制を維持
-
- 業務内容
-
デジタルマーケティングを中心としたビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)
-
- 導入サービス
(2024年12月時点)
対談インタビュー
Operation Director:(組織運営・統制、営業窓口対応など) 草竹
電通オペレーション・パートナーズ(DOP)のBPO業務を担うアルティウスリンクのベトナム拠点では、データ分析や広告入稿支援といった高い専門性が求められる業務を、どのような人材が、どのように対応しているのか。チームの自律的な成長や日本語での自然なコミュニケーションを支えるその取り組みについて、現場を牽引するアルティウスリンクベトナムの草竹(Operation Director)、クエン(Deputy Operation Director)、タオ(Manager)の3名に話を聞きました。
業務を支える日本語コミュニケーション能力
ベトナム拠点における業務内容を教えてください。
草竹
ベトナム拠点では、デジタル広告の効果検証レポート作成や入稿作業支援に加え、財務・人事労務まで幅広い業務を担っています。いずれも高度な専門性と正確な判断が求められる業務で、例えば効果検証レポート業務では、日本の営業担当者に代わって広告効果を可視化し、アウトプットとなる資料を作成します。日本語でのチャットやメールコミュニケーションで細やかに連携を取り、ご要望に応じた資料のカスタマイズにも自立して対応し、作業代行にとどまらない業務支援を実現しています。
求められる日本語能力はどの程度でしょうか。
草竹
オペレーターは日々の業務として、管理者の介入なく、TeamsやSlackなどで日本のお客様企業担当者と日本語でのコミュニケーションが求められます。そのため、採用面接では口頭での会話以外に、メール文章作成のテストを織り交ぜ、日本人がビジネスシーンで大切にしている気配りや配慮が文章上で表現できるかを重視しています。こうしたスキルを担保するため、ハノイ国家大学やハノイ大学などの現地の大学と連携した講義の実施や、リファラル採用を通じた人材確保にも取り組んでいます。
日本語能力を高めるために実行されていること、心がけていることはありますか。
タオ
お客様からの指示や日本語の資料を「漠然と」ではなく「正確に」理解し、業務で誤解が生じないよう、メールの文面やレポートの書き方には、毎回細心の注意を払っています。また、新しい業務を請ける際も、専門用語の下調べや学習を欠かしません。私自身も、大学で日本語を専攻しN1※2を取得しましたが、自分の日本語能力を低下させないよう、日々勉強を続けています。
クエン
日本での生活経験が10年近くありますが、言葉は使わないと忘れてしまいますので、日本の推理小説やテレビ番組を見るなど、今の日本で使われている言葉や文化を学び続けています。お客様が言語の壁を感じず、自然なコミュニケーションが取れるよう、スタッフ一人ひとりがそういったプロ意識を持って、日々の生活の中でも自己研鑽に励んでいます。
独自SOPによる業務標準化で品質維持を実現
品質を確保するために、現場ではどのような工夫をしているのでしょうか。
草竹
品質を支える最大の土台は、DOP様のマニュアルを基に私たちで作成したSOP(Standard Operating Procedure=標準作業手順書)です。通常のマニュアルとは異なり、作業工程を分解・可視化し、例えば「画面のどこをクリックするか」まで詳細に記載しています。すべての工程が画像付きで明記されているため、誰が担当しても同じ品質で作業できる仕組みです。SOPは定期的に現場からのフィードバックを反映し、常に最新・最適な状態にアップデートしています。
業務によっては130~200ページほどにわたる手順書もあり、非常に細かい部分まで作り込むことで、新人であっても同品質での業務遂行が可能です。
クエン
SOPを活用することで、研修プロセスも大きく改善されています。日本からベトナムへの業務移管時には、従来4週間かかっていた初期研修を短縮し、3週間でのスキル習得を実現しました。現場としても大きな手応えを実感しています。
タオ
SOP作成に加え、現場では徹底したチェック体制を敷いています。データ処理業務において正確性は最も重要ですので、納品前には必ずチェックリストを用いて厳重に確認しています。また、ミスの発生を未然に防ぐため、リスクが想定される段階でチーム内ミーティングを実施し、原因となり得る要素と対策を話し合っています。スタッフ全員が高い意識を持って品質管理に取り組んでいます。
現場主導で進める継続的な業務改善と効率化
品質を維持しつつ、どのように効率化も両立しているのでしょうか?
クエン
効率化については、業務の標準化を土台としつつ、スタッフの習熟度に応じた業務配分と、日々の改善を積み重ねています。レポート業務では、経験や習熟度に基づきスキルを5段階にレベル分けし、それぞれに適した案件を割り当てることで、安定したKPIの達成を実現しています。
私たちは、目標作業時間の達成だけでは満足しません。期待以上のスピードと品質を提供することが、お客様の満足と信頼につながるからです。日本と同じ、あるいはそれ以上の品質だと認められることで、もっと多くの重要な業務を任せていただきたいーースタッフ全員がそうした責任感と向上心を持って業務に向き合っています。
タオ
経理・財務業務では、プロセス全体の処理時間を開始当初より約50%削減することができました。これにより、業務量が5.3倍に増加したにもかかわらず品質を維持しながら対応できる体制を維持しており、お客様からも高く評価いただいています。

業務領域の拡張と次のビジョンを見据えた体制へ
今後の業務における目標や意気込みを教えてください。
草竹
今後の目標としては、やはりAIの活用も含め、より専門性の高い業務に積極的にチャレンジしていくことです。成長意欲と自律性が高いスタッフ一人ひとりの力を発揮できるよう、より幅広い領域の業務オーダーにお応えできる体制を構築したいと考えています。同じ目標に向かうDOP様とワンチームでオフショア推進を加速し、お客様の期待を超える成果を出し続けたいと考えています。
岩井社長からのコメント
ベトナム拠点のスタッフが自主的に改善を進めてくれた結果、業務効率が30%向上し、弊社としても最大30%のコスト削減が実現しています。現地を訪れるたびに、スタッフの皆さんが高い意欲を持って業務に向き合っていることを実感しており、生産性向上により空いたリソースでまた新しい業務に対応できる、という好循環も生まれています。現地スタッフの学習意欲は非常に高く、今や高難度の業務も任せられる、自社センター同様の存在です。あらためて「One DOP」として一体感を持って自律的に取り組んでくれている点に、深く感謝しています。
株式会社電通オペレーション・パートナーズ
代表取締役社長
岩井 隆宜様
株式会社電通オペレーション・パートナーズは、従来のBPOから進化した「事業成長型BPO」を強みとするオペレーションの専門会社です。フロント・ミドル・バックオフィスにまたがる幅広い領域を対象に、メディア業務やデジタル運用型広告オペレーションなど専門性の高い業務まで対応。業務コンサルティングでプロセス全体を見直し、アウトソーシングすべき業務を明確化しながら、お客様の事業成長に伴走するソリューションをトータルに提供しています。
※2 国際交流基金と日本国際教育支援協会が共同で運営している、日本語を母語としない人々の日本語能力を評価するための検定試験。N1~N5の5段階のレベルがあり、N1が最高難度。 N1は「読む」「聞く」両方の言語行動において、幅広い場面で使われる日本語を理解できることが求められる。