事例紹介

エネルギー会社様

Salesforceを活用したPDCAサイクルでチャネルのつまずきポイントを発見し、改善を実施

顧客とのエンゲージメント強化に向けたCX向上の取り組み。Salesforceを活用したPDCAサイクルでチャネルのつまずきポイントを発見、改善した事例のご紹介。
  • アルティウスリンクはりらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。
  • 本事例は統合以前にりらいあコミュニケーションズとエネルギー会社様が実施した内容です。

<当社受託範囲>

電気、ガスなどのサービスに関する個人顧客向けのカスタマーサポート

<成果>

▷ チャットボットのセッション数が4倍に増加、チャットボットからオペレーターへの転送率は15pt削減
▷ 有人対応において手間がかかるメール対応の比率が約4割削減

取り組みの背景

エネルギー会社様は長期的なビジョンとして、多様なサービスの提供によって生活者の暮らしを快適にしながら「サステナブルな社会の実現」を掲げていました。その一環として、環境に配慮した事業を強化しており、顧客の維持、獲得のためにも顧客とのエンゲージメント強化に向けたCX向上が必要でした。CX向上には顧客接点であるコンタクトセンターも重要な役割を担っており、当社も積極的にビジョン実現に貢献する取り組みの提案を行いました。

一例として、対応チャネルが電話とメールのみであることから生じていた、営業時間外の対応ができない、繁忙期には入電集中による呼損が生まれる、という状況に対し、IVRによる自動受付を導入し24時間365日対応を実現しました。具体的には、クラウド型のコンタクトセンターシステムとSalesforceのデータベースを連携することで契約番号や電話番号による本人確認を自動化しました。
このような取り組みで一定の効果は得ていましたが、もう一歩踏み込んだCX向上施策を実行することになりました。

課題

自己解決できるノンボイスチャネルで顧客の問合せの負担軽減

コンタクトリーズンを分析すると、問合せの約30%が既存のFAQで自己解決できる内容でした。しかし、FAQやチャットボットなどのノンボイスチャネルでは解決できずに有人チャットへ流入するケースが多くあり、顧客に負担をかけていました。そのため、ノンボイスチャネルの利用促進が必要でした。

メール対応を効率化し、お待たせしないコミュニケーションの実現

Webからの問合せはメールに集中しており、特に有人対応ができない営業時間外は顕著でした。しかし、メール対応は送信までの承認作業に多くの工数が発生するため、積滞状況によっては返信をお待たせすることもあり、問合せへの返信をお待たせしない環境づくりが求められていました。

具体施策

  • Chat 「データを利活用し、顧客のつまずきポイントを改善するPDCAサイクル」を提案

課題の解決には、顧客が自己解決に至らない具体的な原因を把握する必要がありました。そこで定点的にFAQやチャットボットの効果検証を行い顧客の行動を分析しました。検証するデータには、IVRの自動受付でコンタクトセンターシステムと連携していたSalesforceを活用。FAQやチャットボットなどのチャネルとSalesforceを紐付けることで、これらのログと顧客データの連携と蓄積、一元管理を実現しました。また、リアルタイムでの自由自在なデータ分析と視覚的な結果の共有により、PDCAサイクルを加速させることができます。
このPDCAサイクル実施の過程で、具体的には以下のような施策を実施しました。

■施策例① チャットボットの設置個所を最適化

チャットボットが活用されない原因を特定するため、顧客の問合せ直前の行動を分析した結果、Webアプリからの流入が半数を占めていました。Webアプリには問合せ方法の記載のみであり、チャットボットへの導線がないことが原因と判明。そこで、Webアプリにチャットボットへの入口を設置し、問合せ導線を確保しました。

■施策② 顧客ニーズの高いチャットボットの型を変更

当初、採用していたチャットボットは分岐質問から選択する「プロセス型」でしたが、アクセスログを分析したところ顧客の約30%が「フリーワードで検索したい」というニーズを持っていました。このニーズに対応するため、チャットボットをキーワード検索ができる「FAQ登録型」へ変更、自己解決率向上につなげました。

成果

■チャットボットのセッション数が4倍に増加し、チャットボットからオペレーターへの転送率は15pt削減

これらの取り組みを通して、チャットボットのセッション数が取り組み開始から1年弱で約4倍にアップしました。顧客とのタッチポイントは大幅に増えたにもかかわらず、チャットボットでの自己解決が増えたことで有人転送率を15pt削減することができました。
※チャットボットで解決せず有人チャットへのリクエストを通じてオペレーターに接続した割合

■チャット対応の約3倍工数のかかるメール対応の比率を約4割削減

チャットボットが活用されたことで、全体の工数に対するメール対応の比率が取り組み前と比べて約4割削減。毎日数十件と遅延していたメール対応がほぼ0件になり、顧客をお待たせすることなく対応できるようになりました。

今後の取り組み

将来的な取り組みとして、CRM連携やAI活用によるチャットオペレーションの高度化を検討しています。CRM連携では、これまでヒトでなければできなかった、例えば購買履歴や商品の配送状況の確認など、パーソナライズした応対をチャットボットで実現できます。また、AIによる機械学習が進めば、有人対応のような問合せ内容から意図を汲んだ回答ができるようになるでしょう。このようなさらなる自動化は、コール数の削減につながると考え、模索中です。

チームイノベーションでデジタルシフトを実現

CX向上は多くの企業で重要テーマとなっています。加えてDXへの取り組みも進み、CRMを活用して高機能なオムニチャネルコンタクトセンター運営をしたいといった提案依頼が増加傾向にあります。当社には、デジタルの知見やさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが多く在籍。他にも、DXに関するディスカッションや学習機会の支援も積極的に行っています。日頃のオペレーションから離れ、メンバー同士のディスカッションから新たな気付きが生まれてイノベーションが起こる。そのようなことがデジタルシフトには重要だと実感しています。今後も当社内でのディスカッションを続けながら、学習機会の支援なども積極的に行い、より高度なオペレーションを実現していきます。

CXの実現には、デジタルチャネルの導入を目的とせず、顧客ニーズや行動の分析や、運用改善を続けることが重要です。当社では、コンタクトセンターの運用はもちろんのこと、CX実現に向けた分析からチャネル設計、施策の実施まで、トータルでサポートしています。

この事例の資料を
ダウンロード

各種資料・事例ダウンロード