新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、お客様の購買行動が店舗からオンラインショップへ移行したように、カスタマーサポート領域においても顧客接点のオンライン化が進み、とりわけテキストを用いたコミュニケーション手法が注目されています。今回は、重要性が高まるテキストコミュニケーションの強化について紹介します。
カスタマーサポートにおける顧客接点の変化
カスタマーサポートにおける顧客接点は、電話対応はもちろん、メールサポートや有人チャット、他にもチャットボットやFAQサイトなどが挙げられます。以前は電話によるサポートが主流でしたが、チャットによるコミュニケーションが浸透し、Webを活用した問合せが広がりました。また近年ではコロナ禍によるテレワークの拡大からBtoB領域においてもテキストコミュニケーションはさらなる広がりを見せています。
リックテレコム社の「コールセンター白書2020」では、63.7%の顧客がメールやWebフォームを使用して企業に問合せた経験があり※1、65.0%のお客様がコールセンターへ問合せをする前に企業のFAQサイトを検索しようとしたということです。※2つまり約6割のお客様は電話よりも気軽なWebでの自己解決を試みており、テキストを活用した顧客接点の重要性が伺えます。
出典:リックテレコム社「コールセンター白書2020」
※1 「これまでに企業にメールやホームページの問合せフォームで問合せしたことはあるか(n=1200)」
※2 「直近のケースでコールセンターに電話する前に、その会社のホームページの『よくある質問集』などを見たか(n=900)」

「こたえ」が見つかるFAQサイト作成、改善のポイントを解説
コラム
お客様が求めている「こたえ」が見つかるFAQの作り方や改善のポイントについてご紹介します。
テキストコミュニケーションを強化するメリット
テキストコミュニケーションの顧客接点を強化することで企業側にもメリットが生まれます。
人的リソース不足の改善
電話でのサポートのみの場合、問合せ数に応じたオペレーターが必要となり、採用や研修にかかるコストが発生します。一方、テキストコミュニケーションチャネルを強化し、お客様に自己解決を促すことで問合せ件数を減少させることができれば、コスト削減が可能になります。
お客様との接触機会の増加
FAQやチャットボットなどオペレーター対応が必要のないテキストコミュニケーションチャネルを用いれば、24時間365日いつでもお客様の問題解決をサポートできるようになります。加えて、企業とお客様の接点そのものの増加につながります。また、お客様にとっても自己都合に合わせて問合せをすることができるため、利便性が向上。CX向上にもつながります。
テキストコミュニケーションの強化にはヒトのノウハウが有効
無人対応(FAQ、チャットボット)はヒトのノウハウなくして効果を発揮できない
コールセンターのオペレーターは、お客様の「困りごと」に対し問合せの背景を自然な流れでヒアリングし、必要な情報を質問することで問題を明確化して解決に導きます。テキストコミュニケーションにおいても、有人対応の場合はオペレーターがお客様の入力した文章を読解し解決方法を推測するため、お客様の申告内容に不足があったとしても電話対応同様にオペレーターのスキルでカバーできます。一方AIが主に問題解決を行う無人対応は、現状の機能では背景のくみ取りや不足情報のヒアリングを行ったうえでの問題解決はできません。無人対応(FAQ、チャットボット)では問合せに対する解決策を企業側で事前に追記したり、学習させたりする必要がありますが、それには有人のカスタマーサポートで実際の顧客対応で蓄積された情報やノウハウを用いることが有用です。これらを基に回答をFAQに追記したり、チャットボットに学習させたりすることで、対応精度が向上します。
顧客特性に即した導線設計が必要
お客様をスムーズに問題解決に導くためには顧客特性を把握して、お客様の求めるチャネルとそれに適した導線を用意する必要があります。例えば、デジタルリテラシーが高いお客様がメインターゲットである場合、問合せのスタートをチャットボットのみにし、お客様の問合せ内容から有人チャットやWebフォームへの誘導、そこで解決しない場合にオペレーターにつないで電話対応を行う、というように顧客導線を一本化することで、お客様にストレスを与えることなく対応できます。このような顧客特性の理解と導線設計にあたっては、担当者の想像によらず、事実を根拠とすることが重要です。想像で顧客特性の理解や導線設計を行えばこれらの精度が低下し、かえって利便性を損なう結果となりかねません。カスタマーサポートには、日々お客様の声や問合せといったリアルな情報が蓄積するため、それらの情報を用い顧客特性の分析精度を高めることで、よりよい導線設計が可能となるでしょう。

CX向上に必要なオムニチャネルの導線分析
コラム
自社に適したチャネルの選定とそのチャネルの効果を最大化するため方法について解説いたします。
カスタマーサポートのノウハウで顧客接点を強化する
重要性が増すテキストコミュニケーションに注目し、これらを強化することは顧客接点をより強靭にするための有効な手段です。しかし、ただツールを導入しただけでは強化にはつながりません。お客様と適切なコミュニケーションを行えているか確認し、継続してメンテナンスを行う必要があります。カスタマーサポートにおいてコールセンターは、お客様と会話をしながら要望を引き出すことが求められるため、円滑なコミュニケーションに必要なデータやノウハウを収集することが可能です。そのデータをチャネルの改善や導線設計に盛り込むことができれば大幅な強化になるでしょう。顧客接点の強化を検討の際にはぜひご相談ください。