社会や働き方が急激に変化する中で企業が生き残っていくためには、従業員に組織の役割や目指すべき姿を共有し、同じ方向に向かって進むことが重要です。本記事では、そのために当社が行った取り組みをご紹介します。
"あるべき姿"を言語化し、共有することが組織強化の鍵
コンタクトセンターは応答率やAHT(平均処理時間)などさまざまなKPIを設定し、目の前の数字に追われています。「何のためにこの業務を行うのか」という本質的な目的を忘れ、日々の業務をこなすだけになってしまうと、流れ作業化してしまい品質や生産性にも影響が出てしまいます。また、センターで働く従業員のモチベーションも上がらないでしょう。
また、多くのコンタクトセンターはシフト勤務であり、勤務時間や曜日が人によって異なることに加え、働き方改革の推進や新型コロナウイルスの影響により、テレワークなど新しい働き方も導入されてきています。
このような状況において成果を出すためには、コンタクトセンターの目指すべきあり姿や役割、業務の目的を共有し、意思統一を図ることで、一人ひとりが主体的に行動できるような組織づくりが必要となります。
当社の取り組み ~ビジョン・ミッション・バリューの策定と共有~
当社のコンタクトセンターで実際に行ったビジョン・ミッション・バリュー策定の取り組みをご紹介します。
ビジョン・ミッション・バリューとは、ビジョン(vision)は組織のあるべき姿、ミッション(mission)は組織が果たすべき役割・使命のこと、バリュー(value)はそれを実現するための価値観・行動指針のことです(【図1】)。
【図1】
ポイント①:チーム全員で議論し、全員が納得できる目標を作る
センターマネージャーが中心となり、SVも一緒にセンターのビジョン・ミッションを考え原点に立ち返りました。当社のビジョンはもちろん、お客様企業の掲げるビジョンや経営理念、トップメッセージなどと改めて向き合い、そこに込められた意味の理解を深めます。そのうえで、センターが果たすべき役割・使命とは何なのかを明確にしました。例えば次のようなミッションを策定しています。
「お客様企業の商品の魅力をより多くの人に知ってもらう」
「いつでもつながる窓口、いつまでも働き続けたいセンター」
ポイント②:具体的な行動指針へ落とし込み、KPIまで見直しをする
ミッションを実現するためには、具体的な行動指針に落とし込む必要があります。「お客様をお待たせしない」「正確な案内をする」などの行動指針を立て、それを実行する上での数値目標を設定。例えば、「お客様の言葉の裏にある本音を聞き出して対応する」ことを行動指針としたセンターでは、お客様に寄り添った対応ができるようにスクリプトを改訂。それによって目標が達成できているのか確認するため、モニタリング評価スコアをKPIとして設定しています。
改めて自センターのビジョン・ミッションを明確にすることで、自分たちのやるべきことが見えてきます。これを実施したマネージャーやSVからも「目的意識や課題について目線をあわせることができた」「やるべきことの優先順位や目指すべき方向性が明確になった」「迷ったときの指針になった」といった声が多くあがりました。
組織の一体感が、品質向上や生産性向上につながる
明確な指針を設け、日々の業務や課題に向き合う動機付けを行えば、従業員は主体的に行動できます。ビジョン・ミッション・バリューを共有し、同じ目的に向かって進むことで、組織としての一体感も生まれます。その結果、品質向上や生産性向上につながります。
当社ではセンター運営におけるオペレーションスタンダードを定めています。ビジョン・ミッション・バリューについてのフレームワークに関しても、この体系化されたスタンダードに網羅されており、安心安全かつ高いオペレーション品質を実現しています。
コンタクトセンターの多くは、応答率やAHT(平均処理時間)などのKPIを設定していますが、数値目標は、あくまでもビジョン・ミッションを達成するための指標の一つでしかありません。
ビジョン・ミッションを明確にし、管理者層だけでなく、オペレーターを含め全従業員で共有することで、同じ目的に向かって進めるような環境づくりを目指してみてはいかがでしょうか。