顧客満足度向上の実現に見逃せないKPI「一次解決率」

コラム

2021.07.16

アルティウスリンクは、りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。

コールセンターにおいてオペレーターの回答が正確で速やかだった場合、問合せに対する満足度も高いという調査結果があります(【図1】)。正確さとスピードが期待以上だった場合は、「非常に満足している」「満足している」が95%を占めているのに対し、いずれかが期待以下だった場合には、満足度が約60%にまで減少しています。問題解決における顧客満足度向上には問題を適切に捉え解決に導く正確さと、即座に解決できるスピードの双方に着目する必要があると言えるでしょう。この2点の同時計測に適切なKPIとして「一次解決率」を紹介します。

【図1】「直近1年間の全体の満足度×オペレーターにつながってからの回答は正確で速やかだったか」
「直近1年間の全体の満足度×オペレーターにつながってからの回答は正確で速やかだったか」の調査結果
リックテレコム社「コンタクトセンター白書2020」より

一次解決率とは?

コールセンターにおける一次解決率とは、顧客が問合せた全件数に対し、転送やコールバックをせずに一度の通話で問題解決した件数の割合を言います。計測するうえでの重要な点は「解決」の定義です。解決したかどうかの判断は顧客の主観であり曖昧なため、コールセンター内で「解決した状態」を定義する必要があります。例えば商品に関する問合せ窓口は、顧客の疑問をその場で回答することで解決となります。一方、各種手配の結果を折り返し連絡するような窓口では、複数回のコンタクトが必要となり一度の電話だけでは顧客を根本的な解決に導くことは不可能です。このような即時解決ができない業務内容の場合は、「一回の電話で解決できる範囲」を定義し、そこに至れば一次解決とする場合もあります。

一次解決率向上で期待できる効果

前述のとおり、顧客満足度の向上が挙げられますが、そのほかに以下の効果も期待できます。
・機会損失リスクの低減(サービス解約リスクの低減、申し込み・購入の獲得など)
・管理者(SV)の負担軽減
迅速な問題解決は顧客の負担軽減と満足度向上につながり、結果、機会損失リスクの低減が見込めます。また、オペレーターへのフォローなどにかけていた時間を削減することができ、管理者の負担軽減にも寄与します。

一次解決率向上における4つの改善ポイント

オペレーターの育成
応対するオペレーターの習熟度が一次解決率に直結します。特にセンター立ち上げ時や新人オペレーター育成の機会が多い時期は、知識が定着しておらず、経験も乏しいため応対が不安定になりがちです。定期的な研修やフィードバックを行い、スキルアップを図りましょう。

トークスクリプトの改修
オペレーターが参照するトークスクリプトを見直し、質問された内容にすぐに回答できるよう工夫することが重要です。更新や見直しは新サービスのリリースなどに合わせて定期的に行うのが良いでしょう。

裁量範囲の拡大
オペレーターの裁量範囲を拡大することも、解決率を高める手段のひとつとなり得ます。現状の運営体制を構築した際には必要と判断されていた二次対応、コールバックを減らすことが可能です。

ナレッジマネジメント
日々蓄積された情報がマニュアル化されずに点在していることや、管理者の一人が経験で得た知識が共有されていないことも一次解決率の向上を妨げます。情報共有により属人化の解消だけでなく、センター全体の運営強化にもつながります。

一次解決率向上には、オペレーターの習熟度向上や環境の見直しが必要です。これらを実施することで、顧客満足度や管理者の負担軽減などの効果も期待できるため、検討してみてはいかがでしょうか。

関連サービス・事例