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RPAを活用したオペレーター業務自動化|コンタクトセンターDX化のススメ

コラム

2025.07.14

アルティウスリンクは、りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。

コンタクトセンター/カスタマーサポートのデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増えていますが、特にオペレーター 業務においては、まだまだ部分最適にとどまり、コンタクトセンター全体の業務効率化ができていないケースが多々見られます。

そこで本記事では、アルティウスリンクが実際にお客様企業向けに行ったセミナーの講演資料を使い、コンタクトセンターDXの具体的な方法、および成功事例をご紹介いたします。

この記事の著者

アルティウスリンク編集部

KDDI三井物産が共同出資するデジタルBPO企業として、幅広い業種の企業様に最新ソリューションサービスを提供するアルティウスリンクの知見を活かし、事業課題の解決に向けたヒントとなる情報を発信します。

コンタクトセンターDXの現状と課題

これまでのコンタクトセンターDXへの取組み

現在多くの企業では、コンタクトセンター/カスタマーサポートの「DX」を実現するため、AIチャットボットなどのデジタルチャネルの導入や、一部業務の自動化を進めています。

しかし、「顧客検索」や「問合せ履歴入力」「登録内容確認」などの「オペレーター対応業務」においては自動化が進んでおらず、「自動業務」と「オペレーター対応」が共存しているケースが多くみられます。

特に金融サービスをはじめ、複数のシステムを使った本人確認が必要な業種においては、一部業務を自動化しても、その他のオペレーター業務が煩雑で工数も多くなるため、一部業務は自動化したものの、期待した業務効率化を実現できていないとお困りの企業が少なくないのが実情です。

コンタクトセンターをDX化してもオペレーター業務が必要な理由

オペレーター業務が必要な理由

もちろん、コンタクトセンターにおいてすべてのオペレーター業務を自動化するのが望ましいわけではありません。

まず、お客様の中には有人対応を望んでいる方も数多くいらっしゃいます。実際、アルティウスリンクが2022年に行ったアンケートでは、20代から60代までのお客様のうち、約半数が有人対応を希望されていたという結果が出ました。

また、契約相談や顧客ニーズに応じた提案をするケース、クレーム対応などにおいては、AIチャットボットなどの自動対応ではなく、人による柔軟な顧客対応が求められます。

そのため、コンタクトセンターDXによる業務効率化を実現するには、「オペレーター対応」と「デジタル化」が調和した、ハイブリッドな業務設計が求められるのです。

コンタクトセンターのハイブリッドな業務設計ステップ

  • オペレーター業務の内容を「プロセスベース」で把握する
  • プロセス内での自動化可能領域を検討

コンタクトセンターDXを実現するには「オペレーター対応」と「デジタル化」が調和した、「ハイブリッドな業務設計」が欠かせません。そしてハイブリッドな業務設計を行う上で重要なのが、「業務内容をプロセスベースで把握する」ことと、「プロセス内で自動化できる領域を検討する」という2つのステップです。

オペレーター業務の内容を「プロセスベース」で把握する

コンタクトセンターDXへのステップ:プロセスベースで考える

まずはコンタクトセンターにおけるオペレーター業務全体の最適化を図るため、現在のオペレーター業務の内容をプロセスベースで把握します。

入電から終話後の事後登録に至るまでのオペレーター業務をプロセスごとに分け、さらに各プロセスでどのような社内システムを使用し、どのような作業を行っているのかについても確認します。

プロセス内での自動化可能領域を検討

DXへのステップ:プロセスのうち自動化が可能な領域を検討

オペレーター業務の全体内容をプロセスベースで把握したら、そのプロセスの内どの領域なら自動化が可能かを検討します。

一例として、オペレーターが複数のシステムやアプリケーションを使用して後処理を行っている場合、システムを横断した情報照会や入力作業が自動化できれば、オペレーター業務の効率化を図ることができます。

オペレーター業務プロセスの自動化のメリット

  • 1件当たりの対応時間減によるコスト削減
  • 応対時間短縮による顧客満足度向上
  • オペレーターの作業省力化による応対品質向上

ハイブリッドな業務設計により、これまで完全にマニュアル対応だったプロセスを自動化することができれば、1件当たりの対応時間を減らすことができ、効率化によるコスト削減が期待できます。

さらに重要なのは、業務効率化だけでなく「顧客満足度向上」にもつながるという点です。問題解決までの時間が短くなれば、当然お客様もその対応に満足してくれますし、オペレーターの作業工数が減れば、煩雑な業務に追われることなく応対に集中でき、応対品質の向上が期待できるからです。

人とデジタルが調和したハイブリッドな業務設計により、コンタクトセンターの業務効率化だけでなく、顧客満足度向上も実現できるのです。

UiPath Appsで実現するコンタクトセンターオペレーター業務の自動化

オペレーター業務プロセスを把握し、自動化したい業務を洗い出したら、今度は「実際にどのように自動化すればいいか」という問題が出てきます。

業務の自動化についてはさまざまな方法がありますが、今回は「UiPath Apps」を利用したオペレーター業務の自動化方法をご紹介します。

UiPath Appsとは

Apps活用例①

UiPath Appsとは、アメリカのソフトウェア企業「UiPath」が開発した、クラウドベースのローコードアプリ開発プラットフォームです。

UiPath Appsの特徴は大きく2つあります。

1つは、ソースコードを最小限に記述して開発する「ローコード」である点。ローコードのため、業務ニーズに合わせたアプリケーションを、エンジニア職でなくとも簡単に開発できるのです。

Apps活用例②

そしてもう一つが、UiPath社が開発した「UiPath Robot」というRPAロボットが実行する自動化プロセスとの連携が可能な点です。つまり、UiPath Appsを利用することで、複数システムに跨いだ顧客情報の収集やデータ入力、登録データチェックなどのオペレーター業務を自動化できるのです。

UiPath Appsなら、「お客様窓口業務でよくあるお悩み」を一挙に解決

お客さま窓口業務におけるお悩み

コンタクトセンター運営では、「オペレーターの作業ミスが多い」「1件当たりの対応時間が長い」といった個々のオペレーター能力だけでなく、「同じ情報を複数システムで確認するのが煩雑」「システムごとにオペレーションが異なる」など、業務プロセスにおけるシステム的な問題がよくある悩みとして挙げられます。

これらのさまざまな問題を、UiPath Appsで一挙に解決できる可能性があります。UiPath Appsで業務ニーズに合わせたアプリケーションを開発すれば、複数システムを横断して検索することも、入力データを適宜加工したうえで、複数システムに一括登録することもできるからです。

コンタクトセンターでのUiPath Apps活用例:「加入者検索」

それでは実際に、UiPath Appsを活用したオペレーター業務の自動化事例をご紹介いたします。

アルティウスリンクでは、損害保険サービスを手掛けるお客様企業より、コンタクトセンターの業務改善のご相談を承りました。

従来の加入者情報照会業務

損害保険サービスにおける加入者情報の照会業務

これまでお客様企業ではお客様からの問合せがあった際、複数の検索システムを使って加入者情報を照会し、さらに別途Excelファイルで管理していた顧客情報と照らし合せての確認業務を行っていました。

オペレーターはお客様から聴取した「加入者番号」「氏名」「電話番号」「生年月日」いずれか2つ以上のデータを使って検索システムAにて加入者情報を照会。そこからさらに検索システムBで「カード情報」を照会し、最後にExcelファイルの情報を参照するという作業を行っていたのです。

結果、問合せ1件当たりの平均通話時間は、新人オペレーターの場合は6分を超え、ベテランオペレーターと比較して2分以上も時間がかかる状況でした。この状況を改善するため、アルティウスリンクではUiPath Appsの導入をご提案いたしました。

UiPath Appsによる加入者情報照会業務

Appsを利用すると...

UiPath Appsを導入する際に、「加入者番号」を入力し検索ボタンを押すだけで、複数の検索システムに跨っている加入者情報をまとめて検索・集約し照会可能となるよう要件定義を行いました。

Apps導入による効果①

その結果、工数が大幅に減ったことで新人オペレーターの平均通話時間を1分半以上短縮することに成功。中堅やベテランオペレーターにおいても時間が短縮され、業務効率の改善を実現いたしました。

コンタクトセンターへのUiPath Apps導入効果

Apps導入による効果②
  • 通話時間の大幅改善
  • 煩雑な照会手順の簡略化
  • ヒューマンエラーの防止
  • セキュリティ事故の防止
  • 顧客対応品質の向上

導入事例からも明らかなように、コンタクトセンターにUiPath Appsを導入することで、1件当たりの通話時間を大幅に改善することが期待できます。煩雑な照会手順が簡略化されることで、新人オペレーターでもベテランとそん色ない作業効率を実現できるのです。

またデータの誤入力や誤更新など、オペレーターのヒューマンエラーを防ぐことや、誤ってセキュリティ情報にアクセスしてしまうといった事故も防止することができます。

さらに照会業務を自動化することで、オペレーターはお客様との「会話」に集中できるようになり、これまで以上にお客様に寄り添った柔軟な対応が可能に、つまり、「顧客対応品質の向上」も期待できます。

Appsでの自動化できるプロセス

UiPath Appsで顧客対応中の照会業務を自動化できれば、通話時間内での「会話」以外の作業を効率化することができるのです。

コンタクトセンターにおけるUiPath Apps活用ポイントのまとめ

Appsのポイントと活用可能性

UiPath Appsは、クラウドベースのローコードアプリ開発プラットフォームであるため、導入に大規模なシステム改修は必要ありません。自社のオペレーター業務に最適化したインターフェースを、ブラウザだけでも利用することができます(※利用用途による)

さらに複数のUiPath ロボットと連携できるため、オペレーター業務をUiPath Apps上で完結させることも可能になります。

Appsの活用 まとめ

RPAを活用した「業務の自動化」は、これまで顧客対応後のバックヤード・バックオフィス業務がメインとなっていました。

しかしUiPath Appsをうまく活用できれば、顧客対応業務そのものの業務効率化が実現可能となるのです。

アルティウスリンクの「コンタクトセンターDX支援サービス」

最適化領域を拡大しながら業務全体の最適化へイメージ

国内最大規模のコンタクトセンター運営実績を誇るアルティウスリンクでは、「コンサルティングアナリティクスサービス」や「コンタクトセンターサービス」など、お客様企業のコンタクトセンター/カスタマーサポート業務全体を最適化に導く幅広いソリューションをご用意しております。

業務全体のプロセスを可視化・把握し、全体像を描きながら最適化可能な部分から着手。PDCAを回していくことで最適化領域を拡大しながら、コンタクトセンター業務全体の最適化を実現いたします。

ITソリューション×運用ノウハウを活用して、手続き受付業務の省力化・自動化を実現

これまでに培ってきた豊富な運用ノウハウはもちろん、最新のITソリューションを活用し、手続業務や受付業務の省略可・自動化を実現するアルティウスリンクのサービスは、「コンタクトセンター・アワード 2024」で「最優秀テクノロジー部門賞」を受賞するなど、多方面から高い評価をいただいております。

UiPath Appsの導入をはじめ、コンタクトセンターの業務改善を検討されている場合は、ぜひアルティウスリンクまでご相談ください。

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