「オンライン接客」の成功事例から学ぶ課題と取り組み方法

コラム

2025.05.28

アルティウスリンクは、りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。

近年の「労働人口の減少」「企業のDX化」、さらに「EC市場の拡大」「通信規格5Gの普及」などを背景に、「オンライン(リモート)接客」の導入が加速しています。その一方で、「どんなツールを導入すればいいかわからない」「今の販売オペレーションへの組み込み方がわからない」など、導入に踏み切れない企業も少なくありません。

そこで本記事では、アルティウスリンクがお客様企業向けに実施したセミナー資料を使いながら、ECサイトにオンライン接客を導入するメリットや導入方法、実際の導入事例などについて詳しく解説いたします。

この記事の著者

アルティウスリンク編集部

KDDI三井物産が共同出資するデジタルBPO企業として、幅広い業種の企業様に最新ソリューションサービスを提供するアルティウスリンクの知見を活かし、事業課題の解決に向けたヒントとなる情報を発信します。

【導入事例】2か月で売上単価大幅UPを実現したオンライン接客

③映像による接客で単価UP

「オンライン接客」の導入効果について、具体的にお伝えするため、まずはアルティウスリンクにて実際に行った、電報サービスでのオンライン接客導入事例からご紹介します。

  • 事例の内容は2022月3月時点の情報です
オンライン接客導入経緯

電報サービスは慶事や弔事など特別なシーンで利用されることが多いため、お客様全般からは「電報を送る際の基本的なマナーや送り方を知りたい」、「台紙選びの相談に乗ってほしい」、「どんなメッセージにしたらよいか」といったものや、高齢のお客様からは申込方法や決済方法などサイト上の操作について、電話での問合せが主な顧客接点となっていました。

これまでに用意していた顧客接点は、電話・自社ECサイトの2種類のみでしたが、「電話以外のサポート手段を増やし顧客満足度を上げる」ことを目的に、新たにオンライン接客を導入することとなりました。

結果、映像によるオンライン接客を導入してからわずか2か月で電報の売上単価が大幅に向上。また問合せの多かった「メッセージ文例」もテキストチャットで直接文例を送信できようになり、さらに「ECサイトの使い方」についても「コブラウジング(画面同期)」を使ったテクニカルサポートフォーム入力サポートが可能となったため、顧客対応時間の大幅な削減を実現しました。

このような成果が実現できたポイントは、オンライン接客の導入にあたり「最適な導線」と、「顧客ニーズに合わせた、音声と映像によるコミュニケーション機能」を設計したことが挙げられます。

オンライン接客への導線設計

「オンライン接客」へのつながりフロー

自社ECサイトに「オンライン接客」を導入しても、それを利用するお客様が少なければ期待した効果は得られません。そこで、ECサイトTOPをはじめとする閲覧数の多いページに視認性の高いオンライン接客の誘導バナーを設置しました。

さらにバナーからの遷移先では、問合せの多い内容をそれぞれ「相談項目」としてカテゴリ分けすることで、お客様が相談したい内容が直感的に理解できる形に。お客様は画面タップ(クリック)するだけですぐにオンライン接客を利用できる導線としました。

効果の高かったオンライン接客機能① 音声+テキストチャット

①チャット機能による「寄り添い」サポート

また、高い効果のあったオンライン接客機能の一つに、「音声通話と合わせたテキストチャット機能」があります。

電報で使用する旧漢字の確認や、メッセージ文例などの問合せが多い電報サービスにおいては、音声通話と同時に利用するチャット機能の導入により、必要なテキスト情報をそのまま送ることが可能となりました。

またお客様側もチャット内容をコピーして使用できるため、音声案内より確実に、メッセージを作成いただくことができました。

効果の高かったオンライン接客機能② コブラウジング(画面同期)

②コブラウジング(画面同期)機能によるテクニカルサポート

また、コブラウジング(画面同期)機能によるテクニカルサポートも、対応時間の短縮、ならびに顧客満足度の向上に大きく寄与しました。

「ECサイトの使い方」に関する問い合わせが多かった当サービスにおいて、コブラウジング機能を導入した結果、お客様がリアルタイムで見ている画面をオペレーターと同期させ、同じ画面をオペレーターが遠隔操作してのテクニカルサポートが行えるようになりました。

②コブラウジング(画面同期)機能による代理入力(入力サポート)

さらに、コブラウジング機能では、オペレーターによる入力サポートも可能になりました。

例えば弔電をECサイトから申し込む場合、顧客は入力フォームに「喪主」や「葬儀場」「葬儀時間」など、さまざまな情報を入力する必要があります。使い慣れていない方からすると、「どこに何を入力すればいいのか」を悩むことも少なくありません。

しかしコブラウジング機能により、マウスを利用した画面描写を行うオペレーターが顧客画面を見ながらナビゲートすることが可能に。操作案内の平均対応時間が1件あたり30分超となっていたところ、導入後は8分に短縮され、大幅な業務効率化を実現いたしました。

②コブラウジング(画面同期)機能による代理入力(入力サポート)

またコブラウジング機能については、個人情報などの項目を事前にマスキング処理が行え、セキュリティ対策も万全となっているため、お客様も安心して利用することができます。

効果の高かったオンライン接客機能③ 映像による「接客」

③映像による「接客」で単価UP

「売上」という点でもっとも高い効果が出たのが、「映像」による接客機能です。

映像を利用することで、自社商品を熟知したオペレーターが、電報を送る理由や関係性をお伺いし、Webサイトだけでは伝えきれない情報を、視覚情報と一緒にお客様へ案内することが可能になります。

実際の事例では、3,000円程の商品をご検討されていたお客様に、オペレーターが電報をお送りする相手との関係性などを伺い、用途・関係性をふまえ、最適なうるしの台紙をご提案。加えて、実際に手に持った際の質感や高級感も映像を通して伝えることで、お客様は5,000円程の商品を購入。映像を使ったオンライン接客の効果は非常に高く、お客様のニーズに合わせた最適な商品提案、訴求力も向上したことで、導入から2か月で、電報の単価向上にもつながりました。

オンライン接客の導入でよくある課題

これらの疑問・不安はアルティウスリンクの導入担当が解決してくれました
  • オンライン接客ツールの選び方・導入方法
  • 現行オペレーションにオンライン接客フローを組み込む方法
  • オペレーター研修

オンライン接客を導入すればさまざまな効果・メリットが期待できます。しかしその一方で、「オンライン接客ツールの導入方法がわからない」「現在のオペレーションにオンライン接客をどう組み込めばいいかわからない」「オペレーターの確保・研修が難しい」などの課題・問題点も浮かび上がります。

こういった課題・問題点を解消し、オンライン接客の運用をスムーズに開始するには、「要件確認/ツール導入」「オペレーション設計」「オペレーター研修/テスト運用」の3つが重要なポイントとなります。

オンライン接客 運用開始までの流れ

オンライン接客、運用開始までの流れ

オンライン接客の運用開始までに必要な期間は、ECサイトの規模によりますが、このケースですとおおむね1.5~2か月程度となります。その間に「要件確認/ツール導入」「オペレーション設計」「オペレーター研修/テスト運用」と、必要な準備を進めていきます。

要件確認/ツール導入

運用開始までの流れ - 要件確認 / ツール導入

最初の「要件確認」では、自社ECサイトの課題解決に向け必要な情報の収集ツールの選定選定したツールを使ってどのような運用を行うかなどを検討していきます。

このケースですと、要件確認の段階で「実際に商品を映像で見せる」「文例を文字で情報提供する」「お客様と一緒に操作しながらのECサイト利用サポート」を実現するため、必要な要件を運用現場とすり合わせを行い、整理していきました。

またオンライン接客をスムーズに導入するには、関係者に導入ツールとプロジェクトの説明をできるだけ早い段階で行い、理解を得ることが重要です。こうすることで、各段にプロジェクトを進めやすくなります。

この事例ではコブラウジングを利用してサポートすることを想定していたため、クレジットカード情報などの個人情報がオペレーターに見えないよう社内のリスクマネジメント部門とも連携。そのうえでオンライン接客ツールを利用するためのアカウントやタグ設置などの手配し、オンライン接客への導線を検討いたしました。

オペレーション設計

運用開始までの流れ - オペレーション設計

「オペレーション設計」では、現状のオペレーションフローを把握し、どういったシーンでどの機能を活用するのか、どのように各機能を組み込むのかといったことを検討します。

この事例においては、まず業務の全体フローをヒアリングしたうえで、オペレーターのトークスクリプトや対応フローなどを作成。また「映像でお伝えする」ことが前提の運用となるため、背景が映り込んでも問題ない席配置やレイアウトの確認、映像用PC・カメラの手配など、運用現場と確認しながら業務オペレーションを構築していきました。

オペレーター研修/テスト運用

運用開始までの流れ - 研修/テスト運用

「要件確認/ツール導入」「オペレーション設計」まで完了したら、最後に「オペレーター研修/テスト運用」です。

運用開始時にオペレーターが操作に困らないよう、オペレーション設計にて作成したフローに沿って操作ができるように研修カリキュラムを組み、十分な時間をかけて研修・ロールプレイを実施することが大切です。

オンライン接客はインターネットでの通話となるため、通信環境によって遅延が発生する可能性があります。そのためロールプレイでは、会話を始めるタイミングや接続状況の確認など、オンライン接客ならではの対応についてしっかり確認しておきましょう。

運用開始

運用開始までの流れ - 運用開始

「要件確認/ツール導入」「オペレーション設計」「オペレーター研修/テスト運用」まで完了したら、いよいよ運用開始です。

実際に運用を開始したら、想定していなかったイレギュラー対応が発生するのが常です。そのため、管理者やオペレーターを適宜フォローできる体制を用意しておきましょう。

またせっかく導入したものの、オンライン接客の利用率が期待したほど上がらないといったケースもあります。オンライン接客の導線設計を改めて見直し、必要に応じてTOPページやメニュー画面など、目につきやすい場所に導線を設置したり、視覚的にオンライン接客を理解できるバナーを作成したりしましょう。

なお、アルティウスリンクではオンライン接客の導入支援だけでなく、導入後の運用フォローも実施しております。この事例においてもオペレーターへのフォローアップはもちろん、入電数増加と利便性向上を図るため、閲覧数が多いページをピックアップし導線の増設なども実施しました。

オンライン接客を導入する際のポイント

オンライン接客を導入する際のポイント

繰り返しとなりますが、オンライン接客を導入する際は「要件確認/ツール導入」「オペレーション設計」「オペレーター研修/テスト運用」が重要となります。

さらに、この中でも特に重視すべき点が、「オペレーター研修/テスト運用」です。

オンライン接客で特に重要なのが「高スキルオペレーターの確保・育成」

オンライン接客を導入する際のポイント、特に重要なのは、高スキルオペレーターの確保・育成

オンライン接客で成功する鍵となるのは、スキルの高い専任オペレーターを配置することです。そのためには、導入前のオペレーターの研修やテスト運用を丁寧に行う必要があります。

声だけの電話対応ではなく、ツールを操作して映像での情報提供、操作の伴走などやるべきことが増えるオンライン接客では、トーク力はもちろんのこと次の3つのスキルが必要です。

  • 身振り・うなずきなど、対面接客と同水準のコミュニケーションスキル
  • お客様に寄り添いながら「単価アップ」を図れる営業スキル
  • ツールの使い方を理解し的確に操作できるテクニカルスキル

これらの複合的なスキルを持つオペレーターを確保・育成することが、オンライン接客で成功する鍵となります。

ツールの導入が完了しても、それを利用して的確な対応ができることはもちろん、トークスキルとテクニカルスキルの両方を持ち合わせているオペレーターでなければ、効果的な運用を行うことができません。

オンライン接客を導入しようと検討しているものの、オペレーターの確保・育成で不安を感じているのであれば、ぜひアルティウスリンクのソリューションをご利用ください。

アルティウスリンクのオンライン接客支援ソリューション

顧客導線の最適化、お客様のニーズに合わせた問合せチャネル、現状分析・提案

国内最大規模のコンタクトセンター運用実績を誇るアルティウスリンクでは、オンライン接客を実現する「映像サポートサービス」をはじめ、デジタルソリューションと有人対応を組合せた最適なコミュニケーションデザインのご提案が可能です。

また高品質で習熟度の高いオペレーター・管理者が多数在籍しているため、即戦力スタッフによるオンライン接客センターのスピーディな構築・運用も実現できます。

さらに、すでにオンライン接客を導入したものの、思ったような効果が出ないとお悩みのケースでも、顧客導線の最適化を実現する「SMS送信サービス」や「ビジュアルIVR」、応対品質の向上を実現する「VOC分析サービス」、オペレーションの最適化に向けた課題解決をサポートする「コンサルティング&アナリティクス」など、お客様企業の課題に応じた最適なソリューションをご用意しております。

オンライン接客の導入を検討されている、もしくは導入したもののうまく活用できていないとお悩みの際は、ぜひアルティウスリンクまでご相談ください。