VOC分析でよくある課題・問題点
- お客様の声をどのように分析・活用すればいいかわからない
- 分析をもとに改善策を実施しても効果が出ない
- 他社のVOC分析方法・活用事例を知りたい
VOC(Voice Of Customer:お客様の声)を分析し活用することは、自社製品やサービスの改善や新商品の開発、お客様満足度の向上などを実現するうえで重要です。
しかしいざVOCを活用しようとしても、「うまく分析できない」「どう分析すればいいのかわからない」など、集めたVOCをサービスの改善や新商品などの開発につなげられない企業が少なくありません。
VOC分析がうまくいかない要因はいくつかありますが、代表的なものとして、対象を絞った分析ができていないこと、さらに目標を定めないまま無作為に分析を始めてしまうことが挙げられます。
「一般的なVOC分析」と「コンタクトセンターのVOC分析」の違い
- 一般的なVOC分析:新サービス・商品のアイデアを得る
- コンタクトセンターのVOC分析:課題・問題点を可視化し改善していく
VOCを分析する際は、「VOC全体」を見てひとまとめに分析するのではなく、課題・目的にフォーカスすることが重要です。具体的には、VOC分析を「一般的なVOC分析」と「コンタクトセンターのVOC分析」に分けます。
一般的なVOC分析では、お客様の声から新サービス・商品のアイデアを得ることを主な目的としています。一方コンタクトセンターのVOC分析は、現状の課題・問題点を発見・改善することを主な目的としています。
ここをきちんと整理し、そのうえでまずは現状の課題点・問題点を改善するため、コンタクトセンターのVOC分析から始めることが重要です。セミナーのWebアンケートなど、コンタクトセンター以外で集めた一般的なVOC分析は、コンタクトセンターのVOC分析で可視化された問題点の改善が進んでから行いましょう。
コンタクトセンターのVOC分析における4つのポイント
- 見切り発車を避ける
- 複数の要素でアプローチする
- テキストマイニングを活用する
- テキストマイニングツールを正しく理解する
見切り発車を避ける
VOC分析ではまず、具体的な目的や改善したい課題を明確に設定することが重要です。
目標設定と、その目標に向け必要な対象の絞り込みを行わないまま、無作為にVOC分析を始めてしまうと、次から次へと課題ばかりが見つかり、何から改善を始めればいいのか優先度を決めるのが難しくなってしまいます。
具体的などんな問題点を改善したいのかを明確にし、その問題点に絞った分析を行えば、原因調査と改善策の実行をスムーズに進めることができます。
複数の要素でアプローチする
VOC分析を進めていると、VOCだけでは目標として設定した課題・問題点の分析が思うようにうまくいかないケースが出てきます。
このようなときは、FAQやWebサイトなど、コンタクトセンター以外で収集した他の情報源も活用し、検証・分析を進めましょう。
複数の要素でアプローチすることで、「お客様の声」をより立体化することができ、実践的な改善案を導き出せます。
テキストマイニングを活用する
コンタクトセンターには、問合せの応対履歴や集計したアンケートデータ、メールデータなど、さまざまなテキストデータが蓄積されています。これら大量にテキストデータとして存在する「お客様の声」を分析するには、テキストマイニングツールを活用するのが効果的です。
テキストマイニングとは、大量のテキストデータを自然言語処理技術で解析し、有益な情報を抽出するプロセスのことです。コンタクトセンターに蓄積されたテキストデータはもちろん、お客様アンケート、SNSの投稿、口コミなど、幅広い「お客様の声」を定量化・数値化するうえで、テキストマイニングは欠かせない分析手法となっています。
テキストマイニングツールは、無料で使えるシンプルなものから、マーケティングに特化した専門性の高いものまで、さまざまなものがあります。またテキストマイニングルーツ以外にも、生成AIなどを活用したデジタルツールもあります。
どのツールを使うかは、企業ごとの予算や目的に応じて変わってきますが、いずれにせよVOC分析の際には、テキストマイニングツールをはじめとする何らかのツール導入が不可欠と言えます。
テキストマイニングツールを集計ツールにしない
テキストマイニングツールを使えば、大量のテキストデータを素早く高精度で分析できるため、Excelなどの手作業でデータを入力・確認して集計するのに比べ、大幅な業務効率化が可能となります。
しかし、テキストマイニングツールを使う際のよくある問題点が、テキストマイニングツールを単なる集計ツールとして使ってしまうことです。
テキストマイニングツールを使えば、定量化・数値化の難しい「お客様の声」をデータとしてレポーティングできます。しかし重要なのは、レポーティングされたデータを使って、分析目的に応じた仮説検証を繰り返すことです。
データをレポーティングしたら、分析するデータごとに何を調査するのか、その視点をもつことが大切です。
コンタクトセンターのVOC分析を始めるための準備
VOC分析の効果を最大化するには、以下の3つのチェックが必要です。
- 分析に適したデータがあるのか(コンタクトセンターのチェック)
- データはそのまま分析可能か(データのチェック)
- データごとに分析する目的が設定できているか(分析目的のチェック)
分析に適したデータがあるのか
コンタクトセンターでどのような「お客様の声」を、どのような目的で集めているのかは、コンタクトセンターの運用体制によって異なります。
一例として、「応対履歴」をCSS (カスタマーサービススタッフ)が入力している場合、CSS対応の要点だけをピンポイントに分析することができます。ここから、「解決の答えがFAQサイトに載っている問合せ」が多数見つかれば、FAQやサポートサイトの改善が必要という課題が見つかります。またエンドユーザーであるお客様が入力したアンケート結果を集計していれば、CSSへの評価、対応品質に絞って分析することができます。
しかし、「応対履歴」と「お客様の声」が混在しているデータをそのまま分析しようとすると、コンタクトセンターのリソースにもよりますが、目的に絞ったVOC分析が難しくなる可能性があります。
VOC分析を行う際には、コンタクトセンターにおいて「お客様の声」をどのように集めているのかを確認し、目的に応じた「お客様の声」を集められる体制を整えましょう。
データはそのまま分析可能か
集めた「お客様の声」が、そのままVOC分析に使えるのかどうかのチェックも不可欠です。
よくあるのが「応対履歴」と「お客様の声」が混在しているケースです。このような場合は、VOC分析の目的やセンターリソースに応じて、適宜データ整形することを検討しましょう。
データごとに分析する目的が設定できているか
VOC分析を行う際は、対象となるデータごとに分析の目的を設定しましょう。目的が「FAQサイトを改善し問合せ件数を削減する」ことであれば、応対履歴から問合せ内容を分析する必要がありますし、「CSSの対応品質向上」を目的とするならば、お客様からのアンケート調査を分析する必要があります。
無作為にVOCを集めても、それをVOC分析で効果的に活用することが難しくなります。目的に応じたVOCデータを集め、分析目的を明確に設定しましょう。
コンタクトセンターのVOC分析・アウトプットの進め方
分析に適したデータ集計・データ内容の精査、データごとの分析目的がクリアになったら、いよいよVOC分析に入ります。
VOC分析のプロセス
- データ確認
- データ整形
- 分析
VOC分析のプロセスは、「データ確認」「データ整形」「仮説⇔分析サイクル」の3つとなります。
データを受領し内容を確認したら、分析工数を試算し、データ内の不要箇所の削除や、分析対象を抜き出したデータ整形を行います。データが整ったら、テキストマイニングツールで分析を行います。
VOC分析の具体的な手順
- 分析(テキストマイニング)
- 課題・問題点の仮説(分析対象の絞り込み)
- 分析(絞り込んだ分析対象へのテキストマイニング)
VOC分析では、まずデータをテキストマイニングツールにかけ、そこから課題・問題点の仮説立て(分析対象の絞り込み)を行います。
そこからさらに、対象を絞ったデータにテキストマイニングで分析し、仮説を立てた課題・問題点の深堀りを行い、分析の精度を高めていきます。
VOC分析のアウトプット
VOCの分析が完了したら、課題・問題点の改善に向けたレポーティングを行います。その際に、課題解決に向けたデータとして、VOC分析だけで不足はないかを確認し、適宜他データを掛け合わせた検証を行います。
分析結果に他データの参照情報などを加え検証することで、VOC分析の効果がさらに高まります。またレポーティングの際には、改善項目ごとにレポーティングすることも重要です。
アルティウスリンクのVOC分析事例
実際に、アルティウスリンクがお客様企業に実施したVOC分析と、そこから導き出された改善提案の事例をご紹介します。
【事例①】分析データ別の改善提案事例
「チャットログ」「お客様アンケート」「応対履歴」のVOCを収集していたお客様企業において、まずはデータごとに「FAQ改善」「応答品質改善」「呼量削減」という目的を設定しました。
そのうえで収集データを整理し、テキストマイニング用にデータ整形をしたうえで、テキストマイニングによるVOC分析を実施。分析結果から、それぞれ「FAQへの導線見直し」「FAQの配置・回答見直し、サイト内のナビゲーション設計見直し」「CSS運用スキームの見直し」「FAQ改善による呼量削減」の提案を行いました。
【事例②】応対品質改善を目的としたVOC分析事例
フリーコメントによるNPS(ネットプロモータースコア)のアンケートを集計したお客様企業において、NPSレベルごとにセグメーションをしたテキストマイニングを実施。
アナリストによる分析の結果、仮説に対する根拠不足が見られたため、他部門で実施したフォローコール2種類のデータを追加して検証しました。3種類のデータを分析・検証した結果、改善案に対する十分な根拠が得られたため、それを元に分析結果をお客様企業にレポーティングいたしました。
コンタクトセンターのVOC分析のポイントまとめ
これまで見てきたとおり、VOC分析では「VOC全体」を見てひとまとめに分析するのではなく、課題・目的にフォーカスし、それぞれの目的に応じた分析を行うべきです。そのためコンタクトセンターのVOC分析では、課題・問題点の発見を目的に、複数要素でアプローチしながらテキストマイニングで分析することが重要になります。
また分析を始める前に、「分析に適したデータかどうか」「分析しやすいデータに整形しているか」「データごとに分析目的を決めているか」の3つをチェックしておきましょう。
そして実際のVOC分析の際には、仮説の分析を繰り返し、他の情報と掛け合わせながら検証したうえで、改善項目別に分類してアウトプットします。
こうすることで、精度の高いVOCの活用が期待できるVOC分析が行えます。
VOC分析でお困りならアルティウスリンクのVOC分析サービス

コンタクトセンターに蓄積されたVOCは、サービス改善やお客様満足度向上につながるさまざまなデータが数多く含まれています。
しかし、大量にあるからこそ、それらのデータに含まれているVOCを改善活動に活かすためにはかなりの工数が必要です。企業規模にもよりますが、自社リソースのみでVOC分析を行うのは、難しい場合も少なくありません。
VOC分析でお困りの際は、アルティウスリンクのVOC分析サービスのご利用をご検討ください。
国内最大規模のコンタクトセンター運用実績を誇るアルティウスリンクでは、コンタクトセンターの経験が豊富なアナリストが、貴社よりお預かりした各種データからお客様の声を可視化することで、具体的な改善活動につなげることが可能です。
経験豊富なアナリストによるVOCの見える化と、見える化したデータの多角的な分析をご希望の場合は、ぜひアルティウスリンクまでご相談ください。