チャットを導入する企業の増加にともない、「チャットを利用してもらえない」といった声も聞こえるようになりました。今回は、利用率低迷の原因と打ち手をご紹介します。
チャットの有用性
企業が推進するデジタルシフトは、新型コロナウイルス感染症拡大を通じてさらに加速しました。コンタクトセンターにおいても同様で、電話やメールに加え、有人チャットやチャットボットといった新たなデジタルチャネルが導入されました。これらのチャネルは、問合せの際、時間や場所などの制約を緩和するとともに、テキストベースで視覚的に情報を理解しやすい、気軽に問合せできるといったメリットをお客様に提供します。企業に対しては、複数顧客を1人のオペレーターが対応できるといった生産性の向上をもたらすほか、在宅でのオペレーションも容易であることから、BCP対策への活用も期待できます。
チャット利用率は低水準
上述のように多くのメリットを有するチャットですが、導入後にあまり利用されないケースが散見されます。事実、以下の調査においても電話の利用率32.4%に対し、チャットは10.3%と低水準となっています。
引用:モビルス株式会社【お客さま窓口の利用実態調査2022】
チャット利用率が低い理由
チャットが利用されない原因の一つとして考えられるのが、チャットに対する企業とお客様の認識の差です。企業とお客様のコミュニケーションにおいて、チャットの有用性を企業側は理解する一方、お客様はあまり理解していない可能性があります。このような場合にチャットを導入しても、その存在自体が認識されない、認識していても利用されないといったことが起きるでしょう。例えば、企業が問合せページにチャットのバナーを表示していても、お客様は電話での問合せを前提に電話番号を検索しているため、目につかない。コンタクトセンターの混雑状況によってはチャットのほうが早く解決できるが、お客様は混雑状況を知る由がないため、解決手段の比較検討をすることなく"電話する"、といったことが考えられます。
お客様をチャットに誘導「Optimal Connect」
これらの問題解決には、企業がお客様へより踏み込んだ情報提供を行い、チャットの有用性を伝える必要があります。そこで当社は、チャットの利用促進を支援するソリューションとして「Optimal Connect(以下OC)」を開発しました。
OCは、電話番号の表示ページに遷移した際に、電話窓口の待ち時間や待ち呼数といった情報をフローティングでWeb画面上に表示すると同時に、チャットやFAQといった電話以外のチャネルの導線を提示します。お客様は電話窓口の混雑状況を把握でき、それに応じてほかのチャネルでの問合せを検討できます。

企業においても電話窓口への問合せの一極集中を避けるとともに、チャット流入数の増加が期待できます。これにより、有人チャット対応のメリットを最大化するとともに、お客様が自身の状況に応じた問合せ方法を選択できる環境となり、良質なCXの提供が可能となります。また、チャット流入数の増加はチャットボットの効果も増加することができ、お客様の自己解決率向上にも繋がります。
チャットは設置すればすぐに活用されるものではありません。チャットを表示するページやタイミングなどの導線設計に加え、電話窓口の混雑状況といったさらなる情報提供を行い、有用性を訴求することではじめて十分な活用が期待できます。チャットの活用促進をお考えの方は、ぜひご検討ください。