コールセンター業務の効率化が必要な理由とその方法

コラム

2020.10.23

アルティウスリンクは、りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。

お客様からの問合せが多様化し、コールセンターのあり方も変わってきている昨今、業務効率化を図る動きが見られます。しかし、業務効率化と一口に言っても、具体的にどうすればよいか分からない、取り組んではいるものの思うように成果が出ないと感じている方もいるのではないでしょうか。今回は、コールセンターにおける業務効率化が必要な理由とその方法について考えます。

コールセンターの効率化が改めて求められる背景

新型コロナウイルスの影響により、コールセンターを取り巻く環境も一変し、運用体制を大きく転換せざるを得ない状況が今なお続いています。一部の業種や窓口では呼量が増加し、人員を減らしながらの対応に苦慮しています。さらに、コロナ以前からの傾向ではありますが、近年は電話以外のチャネルの活用が進んでおり、限られたリソースの中で様々なチャネルを活用しながら顧客対応を行っていく必要があります。

また、商品やサービスの複雑化によって、問合せ内容そのものも多様化しており、1回の問合せで複数の用件への対応を求められるケースが増えています。加えて、顧客環境も変化し続けているため、お客様の問合せ背景を察した柔軟な対応も求められるのが、現在のコールセンターの実状です。そのため、1通話あたりの対応時間や後処理時間が長くなる傾向がうかがえます。

リックテレコム「コールセンター白書2020」によると、平均通話時間は5~10分未満が47%(昨年39%)、10~20分未満が23%(昨年17%)であり、増加傾向にあります。(【図1】)。

【図1】
コールセンター平均通話時間の調査結果
※リックテレコム「コールセンター白書2020」「コールセンター白書2019」より当社作成

また、同白書によると、平均後処理時間は5~10分未満が37%(昨年27%)※1)、10~20分未満が19%(昨年7%)※1)であり、こちらも増加しています。(【図2】)。
※1)2020年は10~20分未満、2019年は11分以上で比較。2020年は5~10分未満、2019年は6~10分台で比較。

【図2】
コールセンター平均後処理時間の調査結果
※リックテレコム「コールセンター白書2020」「コールセンター白書2019」より当社作成

このような傾向から、コールセンター運営の変革が迫られる中で、改めて効率化の必要性を感じている企業も多いのではないでしょうか。

また、効率化の必要性は、コールセンターに限らずバックオフィス業務でも同様です。 人手不足や少子高齢化の中、いかにして業務の効率化を行っていくかは、ヒトが行うすべての業務で課題となっており、 これらの業務に関しても運営体制の見直しが必要です。

コールセンターの効率化をどのように実現できるか

では、コールセンターの効率化につながる主な方法を以下で整理しましょう。

ナレッジの整備

前項で取り上げた「平均通話時間」「平均後処理時間」が増加していることを考えると、オペレーター向け社内FAQや業務マニュアル、トークスクリプトが整備されているか再確認する必要があります。それらが使いやすく最新の状態に保たれていれば、応対品質の均一化が図られ、ひいては時間短縮につながります。後処理においては、入力スピードなど個人差もありますので、テンプレートを用意して入力すべき必要項目を明確にすることがカギとなります。コールセンターでは専門的な知識が求められますが、そのようなツールを駆使することで、新人であってもスムーズに応対できます。

属人化業務の見直し

オペレーターのフォロー、シフト管理、二次対応など、管理者は日々多くの業務をこなさなければなりません。業務の属人化により特定の人に業務が偏っていると、長時間労働に拍車をかけ、さらにはその人が突発的に休んだ場合に業務が滞ってしまうことも考えられます。そこで、そのような状況下においても他の管理者でも遂行できるように業務を棚卸し、さらに業務分担を図ることが求められます。

入電の抑制と自己解決の促進

ヒトが対応すべき複雑な問合せと、自動化が可能な単純な問合せを精査することも大切です。お客様向けFAQやチャットボットを導入し、それらの回答精度を高められれば、お客様はWeb上で自己解決できる用件が増えるため、入電の抑制につながります。また、有人チャットは、一人のオペレーターが同時に対応できるお客様数が増えるため顧客対応効率も上がります。

業務の自動化

RPA(Robotic Process Automation)※2)などの自動化ツールを導入することで、業務効率の改善や時間短縮、さらには品質の向上も図られ、ヒトが対応すべき問合せに専念することが可能になります。すべての業務に導入できるわけではありませんが、手順が決まっている単純な業務であれば、比較的容易に代替することができ、人手不足の解消にもつながります。
※2)RPA (Robotic Process Automation)・・・人間がコンピューター上で行っている定型作業を自動化する技術のこと

これらはあくまで一例に過ぎませんが、現在の運用体制を見直す中で、より効率化できる業務が見いだせるかもしれません。しかしながら、業務の効率化の必要性を認識しながらも、日々の業務に追われ、現状把握や効率化への施策実施が難しかったり、これまでの長年の慣習からなかなか脱却できず、効率化できる業務が切り分けられなかったりするケースも多いのではないでしょうか。

そこで当社では、お客様の自己解決による入電抑止を目的として、コンタクトリーズンを起点としたナレッジ整備とチャットボットの導入までサポートする「自己解決パック」や、コールセンターやバックオフィスに関する業務評価のプロフェッショナルが、これまで当社が培ってきた業務設計力やオペレーションノウハウを活かし、定性、定量の両側面から業務課題を詳細に分析し、実状に即した業務効率化を提案する「業務プロセス可視化サービス」をご用意しています。

まとめ

コールセンターを取り巻く環境が大きく変わろうとしている中、各コールセンターでは改めて業務効率化について検討する必要があるでしょう。業務効率化をバランスよく行うことで、内部業務のスマート化を図り、品質の安定や待ち時間の短縮など、顧客満足度の向上も実現できます。業務効率化を模索している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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