迫る電子帳簿保存法への対応、対応済み企業も業務の見直しを

コラム

2022.11.11

※ りらいあコミュニケーションズは、KDDIエボルバと経営統合を行い、9月1日より、新会社「アルティウスリンク株式会社」になりました。

電子帳簿保存法が改正され、企業はこれへの対応が求められています。この改正は2022年1月に施行、2023年12月31日まで猶予が設定されており、対応期限まで残りわずかです。改正の目玉は、電子決済、EDIなどの「電子取引」におけるデータ保存の義務化であり、多くの企業で対応が必要となるでしょう。今回は、未対応の企業は対策を、また、すでに対応済みの企業は対応後のフローが適切か見直しを行うために必要なことをお伝えします。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、税法上で保存が義務付けられている帳簿・書類を、電子データで保存する際のルールなどを定めた法律です。税務関係書類は紙での保存が原則ですが、デジタル技術の普及に伴う高度情報化社会の到来により、税務関係書類に関しても電子データで保存したいというニーズが高まりました。このニーズに応えるため、1998年に同法が施行。それ以降、社会のニーズに合わせて数回の改正が行われ、現在にいたります。

電子帳簿保存法で電子保存が認められている文書は、大きく分けて3種類に分類されます。

影響の大きい改正項目

【国税関係帳簿】

仕訳帳、総勘定元帳、売掛金台帳などが該当します。
これらの帳簿を、会計ソフトなどを使用し、自社で作成した場合には、そのまま電子データによる保存が認められています。

【国税関係書類】

国税関連書類は大きく分けて2つに分類されます。

決算関連書類
貸借対照表、損益計算書、棚卸表などが該当します。
これらも上記の国税関係帳簿書類と同様の条件であれば、電子データでの保存が認められています。
取引関係書類
取引関係書類は請求書や領収書のことを指します。これらは、自社で発行したものと取引先が発行したもので、保存方法が異なります。
  • 自社で発行した紙の書類
    PCやスマートフォンなどの電子計算機のみを使用し、自社でこれらの書類を作成後、紙で発行した場 合、その元となるデータを控えとして電子データで保存することが認められています。
  • 取引先が発行した紙の書類
    これらは紙での取得となるため、スキャニングによるデータ化を行い、保存することが認められています。

【電子取引】

電子決済、EDIなどの電子取引を通じて発生した請求書や見積書、注文書などの書類が該当します。
これらはすべてそのまま電子データによる保存が義務付けられました。

今回の施行で何が改正されたのか

2022年1月1日に施行された電子帳簿保存法の改正においては、電子データによる保存の際に申請義務となっていた税務署長の事前承認が廃止となるなど、さまざまな変更が加わっていますが、最も影響があるとされているのが、「電子取引」に関する改正です。

これまで電子取引に関する保存は、電子データによる保存だけでなく、データをプリントアウトし紙で保存することも同様に認められていました。しかし、今回の改正により、2024年1月からは、紙での保存は不可となり、電子データでの保存が義務化されました。そのため、税務調査時には電子データによって電子取引に関する書類を提示する必要が生じます。2023年12月31日までに行う電子取引については、紙での保存が認められていますが、残り一年程の猶予であり、対応が迫られています。

電子帳簿保存法の対象と保存条件

ワンポイントアドバイス!

インボイス制度との兼ね合い

電子帳簿保存法の改正に加え、2023年10月にはインボイス制度が導入されます。これにより、売手が消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書が必要となります。

インボイス制度について詳しく知りたい方はコチラ▼
https://www.services.altius-link.com/column/349/

取引が「電子取引」である場合、この適格請求書も紙ではなく、すべて電子データで保存する必要があります。両制度共に、同時期に施行されるものであるため、電子帳簿保存法への対応を検討している企業はインボイス制度の改正も考慮すると良いでしょう。

改正事項への対応は難易度が高い

紙から電子データによる保存への変更は一見容易に思えるかもしれません。しかし実際は、電子データを保存する際の要件が定められており、それを満たす必要があることから、高い難易度が求められます。 保存時の要件は大きく2種類に分けられます。

  • 真実性の確保
  • 可視性の確保

出典:国税庁「電子帳簿保存時の要件」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/05.htm

これらの具体的な行為の代表的なものとしては、以下を行う必要があるとされています。

  • 改ざん防止のための措置をとる
  • 「日付・金額・取引先など」などの主要な記録項目を検索条件として検索できるようにする
  • ディスプレイ・プリンターなどを備え付ける

出典:国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021011-068.pdf

ディスプレイ・プリンターなどの備え付けに関しては、どの企業でも備えていることから、容易に満たすことができます。一方、改ざん防止の措置は、データ変更時や送信時ごとに、タイムスタンプや履歴が残るようなシステムの導入や、それらを管理するフローが必要となります。また、「日付・金額・取引先など」での検索に関しても、索引簿の作成や適切なファイル名の設定を行う必要性があり、これらを実施するためには業務ルールの改訂が必須となります。

このように、電子帳簿保存法においては、単純に紙から電子データによる保存に変更するだけでも多くの対策が必要です。この他にも電子データを格納し、共有できる新たなフォルダの作成や格納方法、その後のデータのチェックや定期的な棚卸しの方法など、さまざまな手順の見直しが求められます。電子取引が月に数件といった小規模の場合は見直しが容易ですが、日ごろから数多くの取引を行っている事業の場合は困難なものとなります。

これを機にバックオフィス業務の見直しを

電子帳簿保存法への対応は、バックオフィス業務の部分的な変更だけでも可能かもしれません。しかし、一部の手順が変わったことで、その前後の業務工程に影響を及ぼす可能性があります。例えば、契約書を印刷し、照査を実施していたところ、電子化によりその回付もメールなどで実施する必要が生じます。また、電子データを、保存要件を満たす様式に変更したことで、新たなチェック項目の追加が必要となります。 すでに同法へ対応済みの企業においても、対応後のフローが効率的か、確認が必要です。同法の基準を満たした保存方法を実施していても、運用が効率的か否かは、業務全体を俯瞰しないと判断できません。業務全体を可視化したうえで、変更により新たな問題が生じていないか、非効率となった業務がないか、確認が必要です。

また、この改正は部分的な電子化を行うだけでなく、業務全体のペーパーレス化も検討する機会となります。ペーパーレス化を推進することで、物理的なスペースの拡大はもちろん、さまざまな場所に点在している文書をデータ一元管理でき、さらなる業務効率化へとつながります。

同法の改正は、バックオフィス業務のフロー全体を見直し、さらなる効率化を図るチャンスです。アルティウスリンクでは、業務の可視化やペーパーレス化といった手法で、電子帳簿保存法に適したバックオフィス環境を実現します。また、すでに対応済み企業においても、新たなフローが適切なものか診断し、ヒトとデジタルを掛け合わせたより効率的な運用手法をご提示します。

※本記事は2022年11月4日現在の情報を基に作成しています。その後の法令などの変更により記載した内容が変更される可能性があります。