カスタマーサクセスとは?成功事例から見る仕事内容やKPI定義

コラム

2024.09.10

アルティウスリンクは、りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合した会社です。

近年「カスタマーサクセス」という言葉をよく耳にするようになりました。一方、類似の言葉として「カスタマーサポート」があり、定義や違いについては認識が曖昧な方も多いのではないでしょうか。今回の記事ではそれらの違いに加えて、カスタマーサクセスを実現するためのポイントについて、実際の成功事例を交えながら詳しく解説します。

国内最大規模のBPOベンダーとして豊富な実績・ノウハウを持つアルティウスリンクでは、複数の顧客接点からお客様の成功体験を支援するオムニチャネルサービスやコンタクトセンターサービスなど、カスタマーサクセス領域における幅広いソリューションをご用意しております。各種サービスページでは導入事例もご紹介しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。

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この記事の著者

アルティウスリンク編集部

KDDI三井物産が共同出資するデジタルBPO企業として、幅広い業種のお客様企業に最新ソリューションサービスを提供するアルティウスリンクの知見を活かし、事業課題の解決のヒントとなる情報を発信します。

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カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスのプロセス図

カスタマーサクセスとは、「自社製品・サービスを通じて顧客の成功を支援する」ということです。

「顧客の成功」はビジネスモデルによって変化するため、厳密な定義があるわけではありませんが、自社製品・サービスの購入・継続利用を促すことで、お客様の成功体験の最大化をサポートするというのが、カスタマーサクセスの基本的な考えです。

この考えに基づき、製品・サービス購入後のお客様に対し、契約継続やアップセル・クロスセルを行うための提案・支援を行う業務ポジションを「カスタマーサクセス」と呼ぶことが多くなっています。

SaaS企業以外にも導入が増えるカスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、特にSaaS型・サブスクリプション型ビジネスのサービス継続率を上げる手法として注目されました。

しかし、近年では長期的な収益向上を実現する重要概念として、サブスクリプション型ビジネスに限らず多くの企業でカスタマーサクセスが取り入れられています。

目先の短期的な売上だけでなく、長期的な売上拡大を実現するには、カスタマーサクセスによる顧客満足度や顧客ロイヤルティ、LTV(ライフタイムバリュー)の向上が不可欠だからです。

カスタマーサクセスの仕事内容

「顧客の成功」を目的とするカスタマーサクセスの具体的な仕事内容は、自社製品・サービスを購入したお客様に対する積極的な支援です。

「売って終わり」というスタイルではなく、あくまでもお客様本位で、自社製品・サービスを通じた「顧客の成功」を実現するための顧客サポート業務を担うのが、カスタマーサクセスとなります。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセス カスタマーサポート
目的 お客様の成功体験 クレーム処理・不満解決
姿勢 能動的 受動的
指標 売上・解約率・LTV(顧客生涯価値) 対応件数・満足度
ゴール お客様の成功 問題の収束

出典:BOXIL「カスタマーサクセスとは | お客様の成功体験づくりで注目、CSとの違い・定義・事例解説

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの大きな違いは、お客様に対するアクションが能動的か受動的かという点です。

一般的なカスタマーサポートでは、お客様から寄せられた問合せや苦情などに対応する、受動的な姿勢です。

対してカスタマーサクセスは、お客様を成功に導くことが目的となるため、企業側から能動的に、つまり先手を打ってアクションを起こすという点に大きな違いがあると言えます。

カスタマーサクセスと営業の違い

カスタマーサクセス 営業
目的 お客様の成功 新規顧客獲得
姿勢 能動的 能動的
指標 売上・解約率・LTV(顧客生涯価値) 新規顧客獲得数・売上高・契約数・商談成約率
位置付け 継続して収益を生み出す 収益の獲得(商品やサービスによっては一時的)

カスタマーサクセスと営業の大きな違いは、その目的・ゴールです。通常の営業が新規顧客獲得を目的としているのに対し、カスタマーサクセスが目指すのは自社製品・サービスを通じた「顧客の成功」となります。

ただ、「顧客の成功」という目的が抽象的なため、カスタマーサクセスの具体的なビジネス目標を、契約継続やアップセル・クロスセルとするケースが多く、カスタマーサクセスと営業を兼任としている企業も散見されます。

しかし、カスタマーサクセス本来の目的は自社製品・サービスを通じた「顧客の成功」です。顧客満足度やLTVの向上を目指した結果として、契約継続やアップセル・クロスセルにつながるのです。

そのためカスタマーサクセスでは一般的な営業よりも顧客理解が求められます。一人ひとりのお客様に対する深い顧客理解が求められるカスタマーサクセスを、数をこなすことが不可欠な営業と兼任してしまうのは、カスタマーサクセスの典型的な失敗例としてよく見られるものです。

営業とカスタマーサクセスを分業し効率化することで、きめ細やかなお客様対応が可能となります。その結果、顧客満足度やLTVの向上、そして契約継続やアップセル・クロスセルにつがるのです。

導入事例から見るカスタマーサクセスのメリット

お客様の利便性と快適性の向上を目指し、デジタルソリューションの導入を検討されていたティップネス株式会社様において、アルティウスリンクでは「SMS送信サービス」「ビジュアルIVR」「AIチャットボット」を段階的に導入し、オムニチャネル化を実現

AIチャットボットを筆頭に、オムニチャネル化によりお客様の利便性が向上。さらに業務効率化によって、高品質なサービス提供につながるコア業務への注力も可能となりました。

既存会員様に対するアップセル・クロスセルが課題となっていたクレジットカード会社様において、豊富なコールセンター構築・運用実績を持つアルティウスリンクがコールセンターからの既存会員様への売上拡大アウトバウンドコールを実施

コンタクト率を向上させるため、電話が繋がりやすい曜日や時間帯に架電できるように最適な人員配置を行った結果、キャッシング融資残高やリボルビング手数料の増加等により、大幅な収益改善に貢献しました。

特定健康診査の受診率が全国平均よりも低く、早急な受診者増が求められていた自治体様において、アルティウスリンクでは特定健診の勧奨コールセンターを構築・運用を実施。

対象者の性別や年齢層によって電話をかける時間帯を変更したり、受診者と同じ世代のオペレーターを登用したりすることで、コンタクト率や顧客満足度を向上。また受診意思の強い方にはきめ細かな有益情報も提供することで、受診率を改善させることに成功しました。

お客様とのコンタクト率が低いことから、返戻キャッシュカードが毎月約1万枚にも及び、お客様満足度の低下と管理業務にかかるコスト増大が課題となっていたみずほ銀行様において、アルティウスリンクでは「お客様への確実な連絡」「お客様との接点拡大」「業務の効率化とコスト削減」という3つの課題解消を提案。

双方向コミュニケーションサービス「SMS for touching (旧Call Assist EX)」を導入し、お客様とのコミュニケーションをSMSで完結するスキームを構築したことで、99%(※)を超えるメッセージ到達率と苦情ゼロのお客様満足度向上を実現。架電業務をSMSに切り替えたことで業務効率化と人件費等のコスト削減も達成いたしました。

※受信拒否、圏外、電源OFFを除く

カスタマーサクセスを実現するためのポイント

顧客接点の拡充

前述の通り、カスタマーサクセスには「顧客の成功」という意味が含まれており、その目的はお客様が企業から提供されるサービスを通じて、自身の目的を達成できるようサポートすることです。継続したサポートを提供し続けるためには、中長期的にどのようにお客様との接点を維持できるかがカギとなります。それを実現するためには、電話やメールはもとより、LINEやチャットなど、お客様の都合に合わせたサポートチャネルを装備することが大切です。チャネルの選定に関しては、コンタクトセンターに集まるお客様の声や属性情報を活用したり、Webのアクセス分析を行ったりすることで、自社のお客様に適したチャネルが分かります。これらのチャネルを実装することで、企業はお客様との接点を増やすことができ、コミュニケーションを維持できるだけでなく、サービスの利便性を高め、顧客努力を低下させることができます。

顧客ニーズの収集とプロアクティブな対応

お客様を能動的にサポートするためには、お客様のニーズをいち早く捉え、問題や要望が生じる前にサポートを行うことが必要です。各チャネルに集まるお客様の声や課題点を敏感に察知し、吸い上げた意見や要望を詳細に分析することで、さらなるサービスの改善に役立てることが可能となります。お客様から寄せられる要望は往々にして、ひとつの部署だけでは解決できないこともあるため、部署の垣根を越えた柔軟な対応も必要です。また、これらの分析から事前に想定される問合せに対して、WebやLINEなどのチャネルを駆使し、お客様から問合せが来る前に、企業から情報発信を行うなど、先回りしてサポートを行うことで、お客様が問合せを行う手間も省くことができます。お客様側は、このようなこまめなサポート体制を通じて、悩みや問題が迅速かつ的確に解決された、自分が提案したことがスピーディーに反映されたといった体験が積み重なると顧客満足度が高まります。企業においてもお客様との良い関係があれば、より高額なサービスへのアップグレードや別の商品やサービスの追加利用などのアップセルやクロスセルが実現し、顧客単価やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上、ひいては企業の業績の向上にもつながります。

カスタマーサクセスで見るべきKPI

  • 解約率(チャーンレート)
  • 顧客維持率(リテンションレート)
  • オンボーディング完了率
  • アップセル・クロスセル率
  • NRR(売上継続率)
  • NPS®(ネットプロモータースコア)
  • アクティブユーザー数
  • セッション時間
  • LTV(顧客生涯価値)

解約率(チャーンレート)

カスタマーサクセスの代表的なKPIとしては「解約率(チャーンレート)」が挙げられます。お客様が契約中のサービスを解約した割合なる解約率は、特にSaaS型・サブスクリプション型ビジネスにおいて非常に重要な指標となります。

代表的な顧客(ID)数をベースにした解約率は「顧客解約率(カスタマーチャーンレート)=当月の解約顧客(ID)数÷前月末時点の契約顧客(ID)数×100」の計算式で割り出せます。

顧客維持率(リテンションレート)

顧客維持率(リテンションレート)も、カスタマーサクセスの代表的なKPIです。一定期間内で、契約している顧客の割合を示す指標で「顧客定着率」「CRR」などと言われることもあります。 リテンションレートは「(期間終了時の総顧客数-期間中に増えた新規顧客数)÷期間開始時の既存顧客数×100」の計算式で割り出せます。

オンボーディング完了率

「オンボーディング」とは、もともと「新入社員が早く馴染むための新人研修」のことを指します。その意味が転じて、カスタマーサクセスでは「新しいお客様に自社製品・サービスの使い方に慣れてもらうプロセス」という指標で使われます。

オンボーディング完了率が重要な理由は、顧客維持率にかかわるからです。オンボーディングがスムーズに完了した場合、お客様は使い方に慣れた自社製品・サービスを利用しつづけてくれる可能性が高まるため、契約継続や安定した収益を確保することができます。

しかしオンボーディングがスムーズに完了しない場合、お客様は自社サービスを利用するうえで、何らかのストレス、不便さを感じている可能性があります。機能や使用方法について短時間で理解できないと、継続利用せずに解約する可能性が高まってしまいます。

そのためサービスの継続率が重要なビジネスモデルの場合は、オンボーディングをKPIとして設定するケースが多くなっています。

アップセル・クロスセル率

提供商品やサービスに、上位モデルや関連商品がある場合は、KPIとしてアップセルとクロスセルを設定します。

注意が必要なのが、単に「高い商品を売った」「関連商品を売った」という評価ではなく、お客様のニーズに合った、「顧客の成功」を実現するためのアップセル・クロスセルができるかという評価が大切だという点です。

アップセル・クロスセルに成功したとしても、お客様が「買わされて失敗した」と思ってしまえば、顧客満足度やLTVは低下してしまい、企業として長期的な売上向上は期待できなくなります。

目先の売上だけでなく、長期的な視点で「顧客の成功」を実現するためのアップセル・クロスセルが重要です。

NRR(売上継続率)

NRR(売上継続率)とは「ネットリベニューリテンションレート」の略語で、既存顧客の売上が、前年比でどれだけ維持できているかを示す指標です。翌年度の売上を推測するために使用されます。

既存顧客の積極的な支援を目的とするカスタマーサクセスにおいて、前年比からの売上継続率は重要な指標となります。

NPS®(ネットプロモータースコア)

NPS®(ネットプロモータースコア)とは、自社製品・サービスを利用されるお客様が、他人にもすすめたくなる気持ち、「顧客ロイヤルティ」を数値化した指標です。

NPS®のデータは、主にお客様アンケートで集計します。

「自社製品・サービスを友人や同僚にもすすめますか?」といった質問に、0から10までの数字で回答してもらい、そのスコアに応じて「批判者(0点~6点)」「中立者(7点~8点)」「推奨者(9~10点)」に分類。推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出される数値がNPSの値になります。

アクティブユーザー数

アクティブユーザー(AU)とは、特定の期間内にWebサイトやアプリなどのサービスを利用しているユーザーの総数のことです。

アクティブでないユーザー、つまりサービスを利用していないユーザーは、解約するリスクが大きいため、カスタマーサクセスはより多くのユーザーをアクティブ状態にすることが求められます。

セッション時間

セッション時間とは「ユーザーがサービスを利用している時間」のことです。特にSaaS型ビジネスでは重要な指標とされています。

サービスのファンである顧客ほど、セッション時間が長くなり、逆にセッション時間が短いほど、解約リスクが高くなります。

LTV(顧客生涯価値)

「顧客生涯価値」とも呼ばれる「LTV(ライフタイムバリュー)」は、一顧客(一社もしくは、1契約)が、生涯にわたって企業にもたらす利益のことです。既存顧客の継続利用、アップセル・クロスセルなど、長期の売上向上につながる重要な指標です。

カスタマーサクセスにおいては、顧客生涯価値の最大化を目指すための活動が必要となります。

カスタマーサクセスを実現するアルティウスリンクのソリューション

カスタマーサクセスを成功させるには、データドリブンなアプローチが不可欠です。VOC(顧客の声)などの顧客情報をデータ化できれば、お客様のニーズを正確に把握することができ、リテンションレートの向上やアップセルが可能となるからです。さらに集積したデータはカスタマーサポート領域での顧客対応や、マーケティング、新商品開発などにも活用することができます。

アルティウスリンクでは、お客様の声や課題をデータとして蓄積・分析することで「顧客の成功」を支援するコンタクトセンターソリューションや、お客様とのあらゆる接点を生み出すオムニチャネルサービス、アップセル/クロスセルを通じた「顧客の成功」を実現するアウトバウンドコール、お客様のニーズに沿った新商品開発に役立つマーケットリサーチソリューションなど、カスタマーサクセス領域のBPOサービスを数多くご用意しております。

お客様企業のニーズに最適化させた高品質なソリューション提供で、売上の拡大、顧客満足度の向上などに寄与してきたアルティウスリンクのカスタマーサクセスソリューションにご興味がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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